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VOL.37 AUGUST 2006

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平成17年度通信制大学院修了者からのメッセージ2

ぜひ,楽しんで欲しいのです

社会福祉学専攻 M.K.

 修了証書が私の手元にあることは「奇跡」としか言いようがありません。もしくは,暖かい眼で見守って下さった小松洋吉教授,事務室の皆様の寛大な心の結晶としか表せません。本当にありがとうございました。
 大学院への入学から始まり,結婚?妊娠?出産?退職とこの3年間(2年ではないところが私らしいのですが…)は私にとって人生の岐路そのものでした。この3年間,「もう無理だ。あきらめよう…」と思わない日はない,というくらいに切羽詰った日々でした。振り返ると,自らの怠慢さばかりが甦ってきます。
 1年目の春に結婚し,夏には人事異動により僭越ながら昇進を言い渡されました。新しい環境と仕事に楽しさを感じてしまい,「大学院は3年で…」と6単位しか修得せずに初年度が修了してしまいました。
 2年目,焦りながらレポート提出に追われている冬,妊娠に気づいたのでした。焦ったものの,20単位しか修得できずに3度目の春を迎えることとなりました。
 そして3年目,妊娠による体調不良により修士論文にはなかなか手がつけられていない状態でした。焦りは募ります。初めての育児に翻弄されながら,ただでさえ睡眠不足の身体と頭を奮い立たせ,朦朧としながらパソコンに向かいました。
 そうです。振り返れば,1年目にもっと単位を修得しておけば?2年間で修了するつもりでいれば,3年目は母としてゆっくりと育児を楽しむことができたはずです。「後悔先に立たず」という言葉を,この3年間で身をもって学びました。
 でも,この3年間は様々なことを気付かせてくれました。高齢者介護の現場で働く私にとって,国際比較や児童福祉は遠い領域のものでした。課題提出のために文献を読み,世間の動向を知り意見をまとめる。この作業だけでしたが,私の価値観にとって新たな視野を開かせてくれました。また,視野が広がったことは修士論文を作成する上でも大きなプラスとなったと信じています。(教授には「論文構成が総論的である」と指摘を受けました…その通りだと反省しています)大学院が修了し,自分の興味のあるものだけを手にすればよい今,テキストとして送付されてきた文献をもう一度じっくりと読み返したいと思っています。
 修士論文の内容は,大まかにいえば「社会保障は『所得の保障』として年金等の収入に重点を置くのではなく,『機会の保障』として就労機会の確保に重点を置くべきである。」というものでした。
 母親になり,元の職場を退職した今となっては,再就職は難しいでしょう。数年間は育児を楽しみたいと思い退職しましたが,近いうちに仕事をすることの魅力を思い出すことは確実です。いくら収入を保証していただいても,勤労の魅力は手に入りません。社会参加をしているという実感を得るためにも,就労の機会が欲しいのです。少子化対策が叫ばれている現在,0歳児保育の少なさ,病理保育の少なさに悲しみを覚えています。修士論文で訴えたかったことは間違いではないと実感しています。
 さて,私は本当に大学院での学びの機会に感謝しています。生涯,学習していく上での基盤ができたと思っています。自分の考えや考え方,文書の書き方など改めて知ったように感じています。自分というものを客観的に見る機会でもあり,自己主張の方法も学ばなければなりませんでした。「もっと学びたい」と今更ながら思います。
 今,修了に向けて頑張っておられる皆さんに「せっかくの機会ですので,是非楽しんで下さい」とお伝えしたいのです。レポート提出は孤独な戦いでもありますが,援護の手は必ずあります。どうか上手に援護の手をとって下さい。きっとその方が楽しんで学べると思うのです。

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