【学習サポート】
[心理学実験] 心理学実験I?II?IIIを受講した方へ(1)
福祉心理学科 心理学実験担当教員
●心理学実験I 実験1 「長期記憶の検索」お疲れさまでした
佐藤 俊人
実験Iスクーリングお疲れさまでした。今回はさまざまなストラテジーを使用して「例のモノ」を思い出していただきましたが,感想いかがだったでしょうか。楽しく作業をした方も,若干なりとも辛い記憶を思い出した方もいたことでしょう。いずれにしてもそれらすべてが人生の歴史ですので,大切にしていただければと思います。
さて,心理学では心のしくみを理解するためにさまざまな実験をしています。精密な器具や多くの被験者を必要とする実験もあれば,今回のように自分自身を被験者にして,日常生活の中でもできるような簡単な実験もあります。心理学に興味を持ったみなさんには,他の被験者の結果を分析するだけでなく,今回の「長期記憶の検索」のように,日々,自分自身の心の動きについても興味をもっていただければと思います。アメリカ行動主義心理学では「眼に見える結果」を重視します。しかし,それが,「どのようなことを考え,感じ,悩んだ結果なのか」を考えることも大切です。そのためには,まず自分自身の心を振り返ってみてください。
覚えなきゃいけないものはなかなか覚えられず,忘れたいものは忘れられない。なかなか言うことをきかない記憶ですが,今後も興味を持ち続けていただければと思います。お疲れさまでした。
●心理学実験II 実験1 「系列学習」を受講した方へ
村井 則子
心理学実験IIの「系列学習」を受け持って3年経ちましたが,毎年「夏の暑い最中に4日連続で4種類の実験をしてレポートを提出する」というハードな日程をこなす皆さんには感心させられております。若さと情熱が違うのかもしれませんが,私などは4日間同じことの繰り返しでさえ,くたびれ果ててしまいました。
ただ,少し心配なのは,次々に異なったメニューの実験を4日間続けるという日程をこなすことに忙しくて「どんな実験をしたのかを正確に理解して覚えていないのではないか」と疑われる方が中にはいらっしゃることです。たとえば,系列位置効果について,系列予言法の実験を行ったのに,文献等に出ている自由再生法の実験結果の考察をそのまま使うというような単位認定レポートがいくつか見受けられます。
実験レポートをお書きになる時には,実習した実験の手続きや経過をもう一度しっかりと思い出してみるようにしてください。
●心理学実験II 実験4 「集団意思決定」のレポートを添削して
中村 修
実験レポートを見て特に強く思ったことをまとめていきます。ご自身のレポートに思い当たるふしはあるでしょうか?
- 結果は結果,解釈と理由は考察
皆さんに求めた(説明したつもりだった)のは,結果はあくまで「生じた事実」をまとめ,考察で「どうして極性化は生じた(生じなかった)のか」をまとめることでした。しかし結果で「この結果が生じたのは……」と考察に書くべき内容に触れる方が多数いました。それ自体はいいとしても,問題は理由として挙げられるものが結果と考察で食い違っているレポートが多かった(矛盾しているものも少々)ということです。やはり理由は理由として整理して,考え出したものに食い違い?矛盾がないか,確認しながら書くべきでしょう。
- 考察で求めた「集団での話合いを振り返ってみる」ことの意図
この意図は「なぜこのような結果になったか,話合い過程の中に理由を探して!」ということでした。なので,単に「話合いはこんな風だった」と書くだけでは不十分でした。結果の説明と結びつくよう,集団決定に影響したと思われる部分に焦点をあてて説明することを求めていたのでした。
- 2つの課題の共通点,相違点
課題は2つありました。「2つの課題で結果が違った」(課題1だけ極性化,等)場合には,「2つの話合いでの相違点」を考えれば自ずと極性化が生じた原因が見えてくるはずでした。しかし,異なる結果での「共通点」を探しても,それは「極性化の生起に関係ない」ことを探したということになりませんか? 結果が同じだったなら,2つの話合いの共通点が極性化に影響した事柄,相違点が影響しない事柄となります。共通点だけ触れているレポートが多かったのですが,相違点こそポイントになるグループもあったわけです。
以上,3点を簡単にまとめました。実験レポートも,普段のレポートも,要はレポートの中での「一貫性」,話の筋をしっかりと通すことが必要です。内容(書くべき事柄)だけではなく,話の流れ方(どの順に書くか,脱線していないか,一般的ではない表現を用いていないか)にも十分配慮して,がんばってみてください。
●心理学実験III 実験2 「投影法の基礎」を受講した方へ
宇田川 一夫
心理学実験IIIの「投影法の基礎」は,日常的に「当たり前の経験」をある実験手法を使い,その結果を「知覚」や「認知」の立場から理論的にまとめることを目的とした種目です。実験自体は,簡単な方法を使用していますが,そのデータを「分析」し,「解釈」して,レポートを書き始める段になると「日常的に当たり前の事象」を心理学の立場から考えなくてはならず,レポートが進みにくかったと思われます。
レポートは,個人のデータを「知覚」や「認知」の枠から書くことが求められています。レポートの評価の視点は,いかに説明した枠を自分のデータに当てはめ,考えを合理的にまとめているかによります。事実(データ)の羅列は,考察がありませんのでよいレポートとは言えません。
アシスタントへの質問の多くは,(1)「配布した資料を充分読んでいないこと」と,(2)「教員が説明をしているとき,ノートを取らないこと」によるものと考えられます。
「新しい知識の習得」は,「難しさ」が伴います。大学の多くの授業は専門的な知識を必要とするものですので,資料をさらりと読んだだけでは理解しにくいですし,教員の説明を聞くだけで理解するのも難しいと思います。それを防ぐには,資料を何回も読んだり,ノートを取ることが必要となります。
単位認定のレポートは,「知覚」(ゲシュタルト心理学)を中心にしているものが多いですが,この種目は「生理?神経学的知覚」を取り扱っていません。「具体例」は,自分の日常生活から発見することが求められています。もちろん,「投影法の基礎」の説明に耐えられる具体例が求められます。
●心理学実験III 実験3 コラージュを通じて
佐々木 千鶴子
今年の夏期スクーリングにおいても,コラージュを用いた心理学実験を行いました。作品作りにかかる時間に個人差が大きく,時間を持てあます方もいれば,時間が足りない方もありました。この点についてはいつも気がかりなところですが,集団で実施せざるを得ないのでいたしかたないでしょうか。
ところで,私たちは日常のなかでいろいろなことに慣れてしまいがちです。こうした実験を通じて,あらためて自分をちょっと違う視点から眺め表現してみることは有意義だったのではないでしょうか。また,現実場面に近い状況で実験を行うと,さまざまな要因が影響しあい,仮説はそう簡単には実証できないことも実感していただけたのではないかと思っています。自分が体験したことを論理的に言葉で表現する面白さ,難しさもあっただろうと思います。
コラージュの素材は簡単に手に入ります。方法は簡単です。何か行き詰まりを感じた時この実験を思い出し,コラージュを作って見るのもいいかもしれません。そこに「自分に関する発見」が待っているかもしれません。
●心理学実験III 実験4 家族イメージについて
渡部 純夫
心理学実験IIIを受講した学生の皆様,大変ご苦労様でした。自分にとって,家族というものがどのような存在だったのかが,イメージを通しておぼろげながらでも理解できたでしょうか。家族イメージをとらえることに多少抵抗のあった方もおられたと思います。でも,考えてみれば,どのような家族であろうが,私たちの原点は家族にあることには間違いがないのですから,そこを自分なりに意識化して考えていくことは,今後の生き方を見ていく上でとても奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】なことと思います。家族にはいいイメージもいやなイメージも内在しています。家族は家族員のいろいろな感情や葛藤,危機,成長等々を飲み込みながら変化していくものだろうと思われます。家族イメージをとらえながら,ご自分の人間性をますます豊かなものにしていただくことを願っています。
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