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VOL.40 DECEMBER 2006

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[精神保健福祉援助実習] 精神保健福祉士をめざす方へ

助教授 志村 祐子

◆精神保健福祉士を目指す方へ

 受講生の皆様は日々,自学自習にお励みのことと思います。自分で調べてレポートにまとめるということは,大変な労力とお察し申し上げます。提出されたレポートを読ませていただいて,その努力を実感しているところです。ここでは,今後国家資格を取得され,精神保健福祉士として現場に出られる皆様に,学生の今だからこそじっくりと考えていただきたいことを,若干お伝えしたいと思います。
 「精神保健福祉士」の資格を取得するということは,「専門家」として他者からは見られるということになります。それ故,「専門知識」「専門技術」「専門家としての価値観(倫理観)」の三種の神器が必要となるわけです。
 「専門知識」は,自学自習の中で文献を読むことによりかなりの学びがなされると思います。疑問に思ったことはすぐに調べる癖をつけてください。一つの文献を読むことにより,さらにその文献に掲載されている参考文献を知ることができます。そこからさらに自分の調べたいこと,学びたいことを辿っていくことができます。限りなく,学習意欲を満たす方法は広がっているということですね。
 「専門技術」に関しては,知識を元に実際に使ってみることで身についていきます。それ故,精神保健福祉援助技術演習スクーリングの中で,ロールプレイなどにより人との関わりを体験的に学ぶことが必要になるわけです。ただ,残念なことに,スクーリングだけでは時間的制約があるので十分とはいえません。日々の生活の中で,例えば「バイスティックの原則」「傾聴?受容?共感」をひとつひとつ意識しながら話を聴く,会話をしてみるといったこともお勧めします(ただし,あまりぎこちない会話になるとお友達をなくすことになりかねませんのでご注意を!)。
 3つめが「専門家としての価値観?倫理観」です。1973年に起こったいわゆる「Y問題」に端を発し,PSWの役割,倫理観が検討されました。1982年の第18回PSW協会全国大会では,倫理綱領が採択されています(「精神保健福祉援助技術総論」テキストp.86)。その他に業務指針も出されていますので,是非目を通してください。利用者の権利擁護,利用者主体が叫ばれるなか,専門家としての立場での,価値観?倫理観を是非考えてください。

◆人と関わる仕事をするために

 人と関わるということは,さまざまな人?出来事に出会うということです。
 我々は,援助者として,常に恒常性を維持することが求められます。クライエントがいつ何時相談しても,同じように関わってもらえるという安心感が,信頼性を生む大切な要素だと思います。「信頼関係(ラポール)」を築くことから援助関係は始まります。そのためには,心身共に自分をいかにコントロールできるかということが必要になります(セルフケアも含めて)。
 そして,「自分をよく知る」ということです。「自己覚知」ですね。自分の得手不得手,できることできないこと等を把握し,足りないところは補充していくようにしましょう。一人でできかねることは,誰かに相談しましょう。我々自身が,相談できる力を持つことも大切です。

◆実習現場からの声

 通信の方々も多くの方が,精神保健福祉援助技術実習を終えられています。巡回指導で伺った際に,現場指導者の方々からいただいた声を,今後の学習に生かしていただくために,ご紹介したいと思います。

  1.  社会人として働いている方もいらっしゃいますが,あくまでも実習生=学生の立場をわきまえていただきたい。(“学ばせていただく”という姿勢が大切ですね。言葉遣いはもちろん,服装や装飾品,香水等への配慮も必要です。)
  2.  現場で知り得た情報に関する守秘義務の遵守。(大原則ですね。守秘義務違反は。精神保健福祉士法に罰則規定があります。)
  3.  基本的知識を身につけてきてほしい。(病院実習であれば,入院形態,主な疾病の理解等。施設実習であれば,その地域の主な社会資源の把握等)
  4.  法制度の把握(特に病院からの要望です。保険の種類やさまざまな手続きに関する知識が求められています。実習前に「学習の手引き」として,調べ学習をしていただきますが,「調べて終わり」ではなく,ご自分の知識として身につけていってください。介護保険,生活保護等も!
     また,今年4月から自立支援法が一部施行され,10月からは本格施行されています。これまでの状況がかなり変化してきています。その中では,精神科通院公費負担制度が自立支援医療費制度に変更になっています。すべてを把握することは,容易ではありませんが,そうした大きな改正点やご自分が体験学習や実習に行くところが,自立支援法の中ではどのような位置づけ,業務内容になっているのかは,把握しておいてください。)
  5.  体調管理(主に24日間という実習は,普段とは違う緊張感の中での実習ですのでセルフケアをしっかりしてください。また,記録を書く作業に皆さん結構な時間を要しているようですので,睡眠不足にならないよう工夫してください。)

 以上実習先からの主なコメントに私のアドバイスを付けてみました。やらなければならないことが膨大にあり,圧倒されそうかと思いますが,ご自身のペースで一歩一歩,歩んでください。
 皆様のご健勝をお祈り申し上げます!!

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