【現場から現場へ】
OB MESSAGE [社会福祉援助技術現場実習]
実習や学習を通して学んだこと― 良くない事例のご紹介 ―
通信教育部社会福祉学科卒業生 保土沢 京子
私は入学してからなかなかレポートが進まず,演習Iは1年目に受講しましたが,演習IIは2年目,実習は入学4年目(3年次編入です…)にして,やっと申込み単位数クリアとなり,実習申込みすることができるようになりました。事前の講義を聴きながらも,残っているレポートをどうやって期限までに提出?修了するかで不安定な状態でした。しかも実習担当の方々からは「レポートが間に合わなければ,実習取り消しもある」との説明もあり,さらに焦りました。
しかし焦っても,書く手は一向に進みません。言い訳にはなりますが,私は教科書を読んでからレポート内容を書き出すまで,頭の中で何日もこねる習慣があり,他人から見ればボーっとしている時間がやたら長いのです。レポートを忘れる日はないのに,筆が進まないのです。苦しい日々でした。ついに実習開始4週間前(しかもあろうことか実習を7月から予定していました),事務局から「どうするつもりですか」とお叱りのお電話をいただきました(同じ職場の同級生からは「励ましだったのだろう」と言われましたが)。その時点で,なんと2冊分のレポートがまるまる未提出でした。電話を持ち,赤べこのように何度も頭を下げながら,「明日には提出します」とお約束し,徹夜で書き上げて速達便で提出しました。幸いにも採点も最速でしていただき,何とか及第点をいただき,実習に臨む体制は整いました。
実習先は勤務する地域にある特別養護老人ホームを選択しました。この施設はユニットケアを取り入れています。地域で会う高齢者と,入所している高齢者との違いや思い,実際の暮らしを学びたいと思ってでした。
実際に実習生として,施設での長い時間を過ごすといろいろなことが見えてきました。
長い時間を過ごして結果としてここに行き着いた人たちが,いろいろな思いを持って集まり過ごしている姿が見えてきました。「仕方ない」と理解しつつ,寂しさを様々な行動で示す入居者の方々。実習に行く前は,もっと不満が強いのかと思いましたが,そうとばかりも言えない秘められた思いを抱えて過ごしている現状がありました。
また高卒の若いスタッフが高齢者と接する時,どう接していいか迷っている姿を見て,人と接するということの難しさも感じました。実習中は自分の性質もあらわになってしまいます。私自身,もともと人と接することが得意ではないので,実習は自分にとって非常に試練でした。同じような悩みを持つ人がたくさんいると実感する機会にもなりました。
毎日が怒涛のように過ぎ,毎日をしっかりと記憶や記録に残していくことを必死でがんばりました。
私はこのような実習を行うことは初めてではありません。しかし,やはりいつもと違う雰囲気や内容に,疲労はものすごいものでした。巡回指導の先生に「体調管理には気をつけて」と言っていただき,ハッとしたものでした。実習は初心にかえるとても良いチャンスともなりました。
私は地域で皆さんの健康づくりをお手伝いする,保健師を業務としております。今回の実習や通信教育での学びは,非常に実りあるものでした。地域から送り出された人がどんな風に暮らしているのかを,実感を持って理解することができました。そこで働く人もまた地域の人であり,それぞれの生活を支えながら,地域をみんなで支えているんだと感じることもできました。
地域での活動は,普段の住民の方々を理解することから始まります。その保健師の視点は「健康」です。4年の学びの中で,福祉は「暮らし?生活」から理解することだと感じました。視点はちょっと違いますが,支えようとする人は同じです。この「人」をどのように支えるか,一方だけでなくさまざまな角度から見つめることの必要性も理解することができました。
普段私たちは同業者でばかり話をしがちです。でも,いろんな考えを持つ人と話すことも,視野を広げるためには非常に有効だとも感じました。それはスクーリングで隣り合った人と「どこから来ました?」なんて簡単な会話から始まるやり取りから生まれました。「自分は大変だ」と思っていても,話をしていくとそれぞれいろんな背景を持って学習の場に来ているのだと知ることができます。自分と違う考えを聞き,「おう,そんな考え方もあるのか」と理解することもできます。その積み重ねで自分の考え方を少しずつ変化させていき,いろんな人と出会う下準備ができるのではないかと思います。これからもぜひ,いろいろな人の考えを聞いて,やわらかい頭を保っていきたいものだと思っています。
学びを続け,修了することはやはりエネルギーが必要です。私はとても近くに仲間がいたので,何とかやり遂げることができました。仲間を作ることも,やり遂げるにはとても良いエネルギーになると感じました。
資格取得もできるおいしい時間を,この原稿を読んでくださっている皆さんにも味わっていただきたいなと,これまでを振り返りながらつくづく思いました。楽しんでくださいね。
最後に私の尻をたたいて実習に臨ませてくださった実習担当のS様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
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