【学習サポート】
教員MESSAGE [精神保健福祉援助技術総論]
精神保健福祉士を目指す皆さんへ
准教授 志村 祐子
日々精神保健福祉士の資格取得を目指し,勉強に,レポート作成に励んでいらっしゃることと存じます。障害者自立支援法が施行され,課題も多い中,現場はようやく法の下での動きをつかみかけているところです。しかし,政権交代が行われ障害者自立支援法の廃止が明言されました。今後どのような法律改正が行われていくのか注目していかなければならない状況です。また,社会福祉士の養成カリキュラムが改正され,今後精神保健福祉士の養成カリキュラムも改正される方向になっています。様々な状勢の変動に学生の皆さんも,国家試験に向け戦々恐々としていらっしゃることと存じます。国としては,大学を卒業し,資格取得をした者に対し,現場における即戦力としての質を求めています。そこで,実習の巡回を通して感じた求められている人材について,少し述べて行きたいと思います。
まず,実習に入るまでの準備として,専門的知識を身につけていることは大前提です。その上で,人としての価値観,専門職としての意識をもって実習に入ることが望まれます。
さらに社会人としてのモデルであることが期待されています(通信生の場合は特に)。ですから,社会人としての礼儀,モラルを持っていることも当然のこととして見られています。
専門職としての意識をもって実習に入ることとは,近所のお姉さん,お兄さん,おばさん,おじさんとして関わるのではないということです。利用者の方とお話をさせて頂くときにも,常に専門職としての意識を持ち,単なる興味本位の質問ではなく,いかなる時も意図的会話に努めること(面接とは意図的会話です)が必要です。休み時間や食事中の会話,廊下での立ち話,作業中の雑談等,すべて生活場面面接としての意識を持って関わってください。お話をしている相手の方から,自分は何を情報として得ようとしているのか,それは支援におけるどのような目的を持っているのかを念頭に置いて会話して欲しいと思います。利用者の方々は,たとえ実習生であろうと専門的学びをしている人として見ています。そして,より自分たちにとって適切に関わってくれる人材となって欲しいと願っています。
このような誠実に関わる対応の中から,信頼関係(ラポール)が構築され,適切な支援が生まれます。
また,体験学習が,実習の前段階として用意されていますが,短期間での現場体験となります。できれば,実習までに精神保健福祉の現場でのボランティアを是非行って欲しいと思います。いくつかの現場を体験してみること,種別の異なる現場を体験してみることにより,視野が広まることと思います。現場はそれぞれ特色を持っています。実習に行かれるところは1カ所ですので,それまでに他の現場体験を重ねていることは,学びを深めてくれることとなります。例えば,他の現場との違いに気づき,何故そのことが起きているのかを考える,機関?施設の目的の違いによる利用者に対する支援の違いに気づき,支援の全体的な流れを考えてみる等,様々な視点からの気づきが得られることと思います。
以上,実習指導者から実習生に求められている点について述べてきました。
学生?実習生という以前の“人として如何にあるか”が,まず大切です。多くの経験を幅広く行い,人としての幅を広げ,それを専門的に有効に資源として活用できるようにしていって欲しいと願っています。
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