仏教専修科
学生インタビュー(三田村尚範さん?朋範さん)「兄弟で父の遺志を継ぐ」
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三田村尚範さん?朋範さん兄弟のお師匠様は2年前にお亡くなりになり、今はご兄弟が協力してお寺を支えています。
— お寺の方はどうやっておいでですか?
尚範 檀務の方は弟とふたりでやっています。会計とか、お寺の経営にかかわることは祖父がやっています。葬儀の方はまだ私は資格がないので親戚のお寺さんの方にお願いしているんですけど、四十九日からは私が担当して、塔婆を書いたり供養したりしています。
— 朋範さんの方も一緒にやっているわけですか?
朋範 今年の後期に入ってから、お経を誦む程度なんですけど、手伝いをするようになりました。
— もうすでにお寺の実務をふたりでほとんどやっておいでなんですね。大変なことだと思います。お寺の清掃とかもご兄弟の仕事になるわけですね。
尚範 祖父母も高齢で、もうあまり動けないものですから。
— お師匠様はお亡くなりになるときに、後のことを何か言い残していかれましたか?
尚範 特にこれといったことはありませんでした。実践的な法要などのやり方については教わっていましたし???。「あとは頼むぞ」と、それぐらいのことは言われましたが。
— 「あとは頼む」ですか???。おそらく、「尚範と朋範に任せておけば大丈夫だ」と確信して逝かれたんでしょうね。
尚範 だといいですけど。
— 今のおふたりの日常生活は、学校の勉強とお寺の仕事で手いっぱいという感じですか?
尚範 そうですね。私の方は四年生になってから大学の授業が少なくなったんですが、2年、3年の時は学校の方もお寺の方も両方忙しくて大変でした。去年はほとんどオンライン授業でしたけど、オンラインで授業を受けていても急に電話が入ったりお客さんが来ることもあります。で、「すいません電話に出ます」とかメッセージを先生の方に送って電話に出たりするわけです。
— 尚範さんは2年生の時の私の講義中によく居眠りしていたのを覚えていますが、それだけ忙しければ居眠りしても仕方がないですね。
尚範 (苦笑)
— でも尚範さんは居眠りをしていても、目を覚ました時に私が質問すると、びっくりするくらい鋭い答えが返ってくることがあって驚かされました。
尚範 いやあれは、起きてたんですよ。
— 目をつむって授業を聴いていたんですか?
尚範 そうです、そうです(笑)。
— 朋範さんもそういう得意技をもっていますか?
朋範 いやあ???僕はちょっと要領が悪い方なんで???。
尚範 お寺の方の仕事はしっかりやってくれているんですよ。
— これから尚範さんが上山されるわけですが、そうすると朋範さんがお寺の方の仕事を一手に引き受けることになるんですね。
朋範 そうですね。来年からは結構大変なことになると思います。
— まあ来年からは朋範さんが居眠りしても大目に見ることにします。
朋範?尚範 (笑)
— 尚範さんはどちらへ上山されるんでしたか?
尚範 永平寺の方へ行く予定です。
— 何年行かれますか?
尚範 長くても2年の予定です。2年経つと弟が4年生で、4年生になると授業のコマ数が減って、一番羽根を伸ばせる最後の時期だと思うんです。
— 弟さんに1年間羽根を伸ばさせて本山へ送るということですか。いいお兄さんじゃないですか。
朋範 はい。いい兄です。
— お寺をやっていくというのは大変なことだと思いますけど、それを学業と両立させて、尚範さんはもうすぐ無事に卒業ということになりますね。
尚範 色々考えることが多かったんですが、本山へ行けば修行以外に考えることはないだろうと思います。
— 尚範さんとは1年間、『弁道話』をはじめ道元禅師のお書きになられたものを一緒に読みましたが、本山から帰って来られたら今度は私に仏の道を説いて下さい。
尚範 2年では到底無理だとは思いますけど。
— 朋範さんもどうぞ、お兄さんを見習ってしっかりやってください。
朋範 はい。ありがとうございます。
(2021年11月公開、文中敬称略)