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2022/08/25 教育学科

【学科報告】「傷のあった方がうまいのはリンゴだけ???」(生徒指導?進路指導論)

生徒指導?進路指導論の授業

前期に開講された生徒指導?進路指導論(担当:教育学科 菅原敏彦教授)では、外山滋比古著『傷のあるリンゴ』(2012年)を読み、感じたことや学んだこと、これまでの自分の考え方に変化をもたらしたものなどを中心にまとめるというレポート課題(1200字程度)を提示しました。
 
『傷のあるリンゴ』の後半に,次のような文章があります。
“失敗という心の痛手を受ければ,それを癒す努力は自然である。壁につき当たったら,乗り越えようとするのが人間である。そこでへなへなと,くじけてしまうようなら,いくら幸運に出遭っても,それを生かすことができない。あらゆる入試をすべて一度でパスするような秀才,才媛もいないことはないが,生を終えるころにたどり着くところは案外,平凡なものである。それに引きかえ,試験に落ちて進路変更を余儀なくされたような人が,悪戦苫闘,傷だらけになって走る人生マラソンのゴールはおどろくほど見事である。失敗は幸運の女神の化身であると考える人がすくないのは不思議である。傷のあった方がうまいのはリンゴにかぎらない。
われわれは不幸,失敗の足りないことをこそおそれるべきである。傷ついてうまくなったリンゴの教訓は貴重である。“
 
読後の学生の文章をいくつか紹介します。
★失敗は、必ず自分の人生にとって良い経験や糧になるのだと改めて感じた。失敗しないに越したことはないが、失敗したからこそ周りに伝えられることもある。また、自分が成長するきっかけとなった失敗を振り返ってみると、当時は落ち込んだり、恥ずかしいと思ったりしていたが、今はそれを受け入れることができており、後悔はしていない。どんな失敗も私が頑張ろうとした証拠なのだと感じている。
★私は、いつしか傷ついたり失敗したりすることを過度に恐れていた。私も、自分と他人を比較していないで、傷つき失敗しながらも努力する過程を大切にし、リンゴのようにたくましく生きていきたい。
★学校は児童生徒の意見が反映されやすい環境でもある。思いつきでも何でも、児童生徒の好奇心や興味、「やってみたい」に手を差し伸べることができる絶好の場所である。非常に主観的かつ自己中心的になってしまうが、私はこれから私自身の挑戦として、生徒と一緒にこの失敗?成功を重ねていける教員を目指したい。
★挑戦すること、失敗すること、それは誰にとっても怖いことだ。しかし、たとえ失敗したとしてもやり直せばよいのである。人生は長い。沢山の経験を通して心身共にたくましく生きていくことができるように、私が教員になった際にはサポートしていきたい。そして、この「傷のあるリンゴ」を子供たちにも伝えていきたいと思う。
 
このように、「傷のあるリンゴ」を読んで、感じたことや学んだことなどを中心に、受講した多くの学生は、「失敗」に対する考え方に変化がみられました。
 
仲間のレポートを読む機会を設けると、次のように記した学生がいました。
●「傷のあるりんご」を読んだ多くの人は、自分と同じように、失敗を恐れず挑戦することが人間を成長させるということを学び取っているのだということが分かった。しかし、その考えにたどり着くまでの過程には、さまざまな視点が存在した。失敗を恐れていた過去の自分と向き合う人、自己肯定感について考える人、社会や教育現場の在り方について見直す人など、それぞれ自分の経験に基づいて表現されているのが印象的であった。
 
この講義の受講者の約40%は、大学受験は思うとおりにできなかったと答えており、『傷のあるリンゴ』のレポートには、大学受験での失敗経験を記しています。
また、90%以上の学生は、福祉大に入学してよかったと答えています。
さまざまな事象に関する学生の考え方や価値観は、人との出会い、書物との出会いなどを通して変容していきます。それらの出会いから、自分にはない考え方や価値観を理解し、物事を考えたり、判断したりしながら、自らの生き方を問い続けていきます。そして、学び続けていきます。
 

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