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2023/09/08 教育学科

教員インタビュー 上條晴夫教授(小学校教育課程国語科担当)

前期授業が終わり、大学は9月中旬まで夏休みです。学生たちはサークル活動やボランティア活動、教育実習など、それぞれ有意義な日々を過ごしているようです。そのような中、教員たちは後期の準備を着々と進めています。今回は、上條晴夫教授にインタビューを行い、小学校教員としての経験や大学での授業実践、教員や保育士を志す方へのメッセージなどを話してもらいました。

————上條教授はかつて小学校教員をしていましたが、実際に小学校で教えてみていかがでしたか。

教員をめざしたきっかけは、高校時代の進路適性検査でした。「教育学部に入るのが良い」と出ました。もともと子どもが好きだったこともあり、子どもの自主性を大切にした温かい雰囲気のクラス作りを目指しました。

初任地は田舎の学校で、自分が多少のミスをしてもベテランの先生がフォローしてくださる環境でした。1年目から体育主任をしました。和気あいあいと活動していました。仕事をしていくうちに面白くなってきました。

教員をして1年半後、斎藤喜博の本を読み始めました。そこには「教育の無限の可能性を引き出す」という言葉があり、それに感動しました。そこで、教育方法を工夫するようになりました。得意なことに特化した教育を行いました。当時熱心に取り組んだのは体育と音楽、そして作文です。体育と音楽は上手に指導をすると成果が早くはっきり出て、手応えを感じておりました。しかしながら、作文はなかなか成果が出ません。

そこで、作文指導に関する以下のシステムを開発し、実践することにしました。作文の時間と作文ノートを両輪で回すようにしました。1つ目は国語科の作文の時間の活用です。そこで新たな知識や手法を学び、作文ノートで実践するようにしました。2つ目は通年での「作文ノート」の活用です。「見たこと作文(追究型作文)」というものをメインとし、面白そうなテーマを児童に投げかけることで、それについて毎日1文でもいいから書くよう指導しました。これらを回す「しかけ」として、書いたことを褒めることを大切にしました。書く量ではないです。学級通信で作文チャンピオンを紹介したり、帰りの会で児童に見せたりなど、児童自身が上達したことを実感できるよう「しかけ」を耕すよう工夫してきました。
これを継続したことで、作文授業でも、5年くらいかけると成果がでてくることを、教師として実感できました。

—————大学での指導における実践で心がけていることについて教えてください。

リフレクション(体験の効果的な振り返り)です。F?コルトハーヘンのALACTモデルで行っています。このモデルは個人の実践や体験を起点として振り返るものですので、教育実践系には相応しいモデルとなります。これを状況により個人?ペア?集団の3つのいずれかで行うようにします。

個人で行う場合、経験したことの中を箇条書きし、その中で次に生かせそうなことを見つけ出す作業になります。そして次の経験に挑戦していきます。これをサイクルとして回していきます。

ペアで行う場合、相手に「どう感じていたか」を問います。相手に質問してもらうことで省察が深まります。

集団で行う場合、協働的な授業リフレクションと言います。それぞれの観点から褒め言葉を重ねることで、良かったことをあらゆる角度から解釈できるようになり、理解が厚くなります。

いずれの方法でも良かったことについて語ることになります。たとえ「まぐれ」で上手くいくことであっても手柄となります。大切なのは「なぜできたのか」を振り返り、客観的に考えることです。上條ゼミでこの実践の開発をし、拙著「理想の授業づくり」に起こしてあります。

——————教員や保育者に必要な資質について、教えてください。

2つあります。一つは「ケアをする」こと、もう一つは没頭することです。

前者については、今の教育では支える?つなぐことを丁寧に行うことが求められます。奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】で行われている1年生対象の「リエゾンゼミ」にも通じるところがあります。かつてはレクチャー中心だった大学講義が、今は体験学習の比率を上げるよう求められております。そして体験学習をリフレクションする。本学教育学部長の石原教授も「セルフ?リフレクション」を論文の中で提唱しています。この資質は、授業の中の協働的な学び、またはサークルの中での経験から身につけることができます。私は「教職論A」の授業のなかでアイスブレイクを多く行って、素地を作り上げるようにしています。

後者については、自分が没頭できる学びを見つけてほしいということです。私はヒップホップダンスサークルの部長をしています。そこでは自分たちで調整して成果を上げていく「自己調整学習」を観察することができます。また、旅に出るのもいいことだと思います。普段生活している「あたりまえ」の場所から外の世界に出ることが奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】です。これについても計画から立てることで、何が面白いかを考える場をつくり、実践するということから、自己調整学習につながります。

—————高校生の皆さんに今のうちにやってほしいことは何でしょうか。

活字を読んでほしいと思います。好きなジャンルの本で結構です。それを読んで、自分の好きなことを探求してほしいです。私は元旦の新聞を地域の売店で購入できるものを全部買って、読み比べをしています。新聞社ごとの観点の違いをみつけることが楽しいです。

おすすめの本があります。拙著ですが、よければ手にとってお読みください。
「理想の授業づくり」ナカニシヤ出版(2017)
「図解よくわかる授業づくり発想法」学陽書房(2009、Kindle版あり)
「見たこと作文でふしぎ発見」学事出版(1989)

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