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2019/07/20 保育士?幼稚園課程

TFU保育キャリアデザインセミナー 2019 in Summer 第1部

7月20日に、主題「保育の養成(大学)と育成(現場)をつなぐ」と題しまして、【TFU保育キャリアデザインセミナー 2019 in SUMMER】が開催されました。1~4年生の学生はもちろんのこと、保育の現場で働いていらっしゃる方々や、本学を卒業された先輩方、他大学の先生方にも来ていただき、共にこれからの保育の未来について学び合いました。

第1部では、「マッチングシステムの構築から目指す“保育の質”向上」をテーマとして、、保育現場と学生をつなぐための取り組みについて考えていきました。

TFU保育士?幼稚園課程では、3年次の12月にOST(オープン?スペース?テクノロジー)が行われ、そこで学生がプロジェクトを立ち上げ、主体的に保育の学びについての活動を始めていきます。

今回はその中でも、とりわけ精力的に活動している以下の3つのプロジェクトから、現在までの活動内容や今後の展望などの話題を提供していただきました。

?話題提供① 出稼ぎプロジェクト代表 TFU教育学科4年生 成ケ澤咲希さん
?話題提供② 山形プロジェクト代表  TFU社会福祉学科4年生 石山優子さん
?話題提供③ ミシュラン?プロジェクト代表 TFU教育学科4年生 橋本日菜さん

まず、出稼ぎプロジェクト代表の成ケ澤さんから、就職活動と保育の学びの繋がりについて発題していただきました。

出稼ぎプロジェクトは、昨年度の先輩方が発足されたプロジェクトですが、今年度はプロジェクトに所属しているメンバーだけではなく、多くの方が情報を得られるように出稼ぎプロジェクトのホームページを作成しました。主な活動としては、関東の園でアルバイトをさせていただきながら、保育の勉強をするというものです。

これだけを聞くと「アルバイトをしているだけじゃないか?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようにならないためにも、ホームページの中に振り返りフォームを設置しています。そのため、出稼ぎに行って終わりではなく、今まで出稼ぎに参加した学生は皆、振り返りを行っているとおっしゃっていました。振り返りを行うことによって、保育の学びを言語化し、より自分にインプットされることになります。さらに、実際に現場を見ることができるばかりか、場合によっては就職活動にもつながり、まさに「一石二鳥」になるのです。
続いて、山形プロジェクト代表の石山さんから、プロジェクトの発足からこれまでの取り組みについて発題していただきました。

「山形で何かしてみたい」という気持ちから始まったこのプロジェクトでは、主に山形の保育園でアルバイトをしながらドキュメンテーションの活用を模索しています。
まず、バイトという仕組みは、対価が発生し、学生と保育現場の双方に緊張感が生み出されます。そうすることによって、学生は保育を学びながら職場の雰囲気等を見極め「就職に縛られない就活」を行うことができ、保育現場もマンパワーの補充や学生の見極めを行うことができます。
また、ドキュメンテーションは日々の保育を可視化したもので、写真や動画などから保育の意図を読み解いていきます。これを行うことによって、保育現場の保育の振り返りに貢献し、新たな保育の価値を発見します。そして、これを学生がバイトの中で行うことによって、保育を言語化する力や意図?思いを読み取る力を養っていきます。

最後に、ミシュラン?プロジェクトの橋本さんから、歴代の先輩方の活動や、4月から今日まで行なってきた活動内容、今後の展望について発題していただきました。
歴代のミシュラン?プロジェクトの先輩方は、「幸せな就職」を目指して、『TFU保育就職活動ガイドライン』を作成しました。
そして、昨年度から現在まで、「保育に正解がないというのは都合のよい答えになっていないか?」「保育スタンダードを共有することができたら」という思いから、『乳児保育ガイドライン』の作成に取り組んでいるところです。

この『TFU保育就職活動ガイドライン』と『乳児保育ガイドライン』は一見違うものに見えるかもしれませんが、共通しているテーマがあります。それは、「よりよい保育の質」を追い求めているということです。

共働きや核家族化などにより家庭内で子どもの面倒をみることが出来ないなどの理由で、保育のニーズが高まっている中、保育所は増設されているにもかかわらず、待機児童が減っていないという現状があります。
これに関して、保育士不足が原因として挙げられるようです。

乳児保育に当たる0歳児?1歳児?2歳児クラスの保育士の配置基準は決められています。しかし、現場は保育士が不足している状況です。
また、この保育士不足が結果的に質の低い保育を招いています。

今年度のミシュラン?プロジェクトでは、昨年度の先輩方が作成した『乳児保育ガイドライン0歳児版』についての内容を見直し、一部修正や、内容の加筆をこれまで行ってきました。そして、今後の展望は以下の通りです。

?『乳児保育ガイドライン0歳児版』の項目について様々な保育現場からスーパービジョンを頂き、保育者に実際に使っていただきながら改善を加えるモニタリングを開始する
?いざ実際に「やってみよう」となった時、人手がギリギリでもできる、「自分たちは今ここの段階だからこれをやってみよう」と思えるようなガイドラインにしていく
?自分たちでガイドラインの項目に即した評価項目を作成し、ガイドラインの一部として盛り込む


このセミナーで発表されていたプロジェクトは、現場に赴き、かつ、その後の振り返りをしっかり行うことや、現場で見てきたこと?体験したことを持ち帰って振り返りを行うという「理論と実践の往還」に取り組んでいるということが分かりました。
まさに「保育の就職」は「保育を学ぶこと」ということになり、そして、「保育を学ぶこと」が「保育の就職」につながるということがいえるのではないでしょうか。

記事担当:大橋咲恵