2019/07/20 保育士?幼稚園課程
TFU保育キャリアデザインセミナー2019 in Summer 第2部
「TFU保育キャリアデザインセミナー2019 in Summer」第1部の記事に引き続き、ここでは同セミナー第2部の内容についてご紹介していきます。
第2部では、TFU保育士?幼稚園課程の学生と、同じくTFU保育士?幼稚園課程の卒業生で、現在保育の現場でご活躍されている先輩方によるシンポジウムが行われました。
ファシリテーターとして
TFU教育学科4年生 伊藤葵さん
パネリストとして、
ケンパ?ラーニングコミュニティ協会池上園 保育士 高橋美羽さん
福島市立ひらの認定こども園 保育教諭 飯田悠夏さん
文京区立お茶の水女子大学こども園 保育士 伊藤ほのかさん
コメンテーターとして
宮城学院女子大学付属認定こども園森のこども園 保育教諭 大久保美紗さん(3年目)
現在、保育士として働いている平塚葵さん(6年目)
以上の6名の方々に、テーマに基づいた発題や討議をしていただきました。
第2部前半では、パネリストの3名から自身の大学生活や就職活動、現在の現場でのお話をしていただきました。
一人目の高橋美羽さんからは、「幸せな就職」と題したお話をしていただきました。お話を聞いて印象的だったのは、とにかく今の職場で働けて幸せ、休みの日も早く子どもたちに会いたいというお話でした。今の職場である、ケンパ?ラーニングコミュニティ協会池上園に出会ったのは4年の夏、そこの先生方の保育に対する向上心に惹かれ、3度保育参画をさせていただいたそうです。特に惹かれたのがM先生で、「保育って面白いなってすごく思う」とお話しするM先生の学び続ける姿勢に憧れを抱いたそうです。
3回目の保育参画の時に、高橋さんが子どもの椅子に座っていられない様子を見て、あえてマイナスな部分をM先生に聞いてみたところ、M先生は「私も悩んでいるんだよね。」と30分間そのことについて対話したそうです。
二人目の飯田悠夏さんからは、「就職活動から今日まで」と題したお話をしていただきました。飯田さんが働く、福島市立ひらの認定こども園は新設園であり、子どもたちみんなが新入園児であるため、慣らし保育や新人研修、行事などの忙しさに気を張り詰める日々を送っていたそうです。とうとうキャパオーバーとなってしまった飯田さんの様子を見た職場の先生方から「今の気持ちを全部吐き出して」と言っていただき、今の不安や葛藤、悩みを打ち明けたそうです。職員との対話をきっかけに、子どもとしっかりと向き合えるようになり、対話の大切さに気づくことができたとお話してくださいました。
三人目の伊藤ほのかさんからは、「学び続ける保育者」と題したお話をしていただきました。伊藤さんは学生時代のセミナーで先輩の「保育の魅力に惹かれていった」という一言からミシュラン?プロジェクトに入ったそうです。現在は文京区立お茶の水女子大学こども園で0歳児クラスの担任をしていらっしゃいます。
言葉では伝えることが難しい0歳児の担任をしていく中で、「私は見ているよ」という1対1の関わり、「この人は安心できる人だ」と感じてもらえるように関わる事を大切にしているとお話してくださいました。また、0歳児は人生の一番最初のとても大切な時期で、その1日の大半を一緒に過ごすという責任に日々気を引き締めて保育に臨んでいるそうです。
先輩方の発題を踏まえ、グループ内で学生による対話タイムが設けられました。
対話タイム後、学生から出た質問にパネリストの3名の先輩方に答えていただきました。
高橋美羽さん
Q:幸せと話していましたが、嫌なことはありませんか?
A:今のところはありません。ネガティブなことは考えないようにしています。後輩の皆さんには、実際に園に来ていただき、とにかくM先生の保育を見て欲しいです。
飯田悠夏さん
Q:新設園ならではの大変さはありますか?
A:運営する上での土台が固まっておらず、何か疑問に思ったことを聞いても「それ決まっていないんだ。相談してみるね」と、回答が来るまで待つことが多くなっているのが現状です。
伊藤ほのかさん
Q:保育をする中で日常的に感じることは何ですか?
A:0歳児クラスを担任していて、子どもはただ一人で遊んでいるわけではなく、「見てた?先生」と言わんばかりに大人を見ていることがあります。日常的に子どもから発信してきているため、保育者は教え込む存在というばかりではないと感じています。
質問への回答時間を終え、ファシリテーターを中心に発題者同士による討議が行われました。
まず、伊藤さんに対して、第1部で石山さんが発題していた、「ドキュメンテーション」を実際に現場ではどのように行っているのかと質問がなされました。
伊藤さんの園は、その中の一つの手段として「ポートフォリオ」というものを使っています。「ポートフォリオ」とは、保育中の子どもの様子を写真に収め、保育者から、そして保護者からのコメントを記録することでその時の子どもの様子を記録し溜め込んでいくというものです。伊藤さんの園では、先生同士で対話をする上で、楽しく自由な雰囲気の中で真剣に一つのことに向かって話す事を大切にしているそうです。楽しく、自由なやり取りをすることでより質の高い対話をすることができます。そんなやり取りの中で、子どもたちの育ちを共有しつつ、こういう姿があったから来月はこうしようという一つのツールとして活用しているそうです。
また、対話が行われる中で、「日常的な対話」というテーマが上がりました。対話によって、職員間の相互理解、関係構築、また、自分自身の保育の振り返り、子どもに対する気づきや成長等に関する情報共有をすることができます。
対話の方法やタイミングとして、LINEを活用したり、隙間時間や食事の時間などに小さな気づきを共有したり、非常勤の先生方とは付箋でやり取りをするなど、様々な方法を用いているそうです。自身の保育について言葉にすることで「こういう思いで保育をしていたんだ」と気づき、自分自身の視野や視点も広がり、良い保育につながっていきます。また、小さな気づきの積み重ねが一人ひとりの子どもに合った保育を一つの方向に向かわせることができます。
続いて、「キャリアアンカー」についてです。
キャリアアンカーとは、仕事をしていく中で揺るがないものを指します。コメンテーターの大久保さんは、どうにかして質の高い保育にできないか、日本の未来の社会のために、愛情を持って子どもと関わりたいとお話されていました。また、今後は日本のモデルとなる園を作ることを目指しているそうです。保育に正解はありませんが、保育のスタンダードを共有し、質の高い保育をする園を増やしていきたいそうです。
そして平塚さんは、子どもの健全な心の育ちを守ること、そして、学び続ける保育者になりたいとお話されていました。また、平塚さんは一度転職されており、新しい園でご活躍されています。園が変わってまた違う世界が広がっており、最初は不安だったそうですが、新しい保育の世界を知ることができてよかったという気持ちになったそうです。
さらに、学生生活と社会に出てからのギャップについて、職場の先生方には理想が高いと言われることもあるそうです。しかし、TFUでの4年間の学びがあったからこそ、理想を高く持つことができている、理想があるからこそ、現実とのギャップを感じた時に折れずにやっていけると皆さんおっしゃっていました。
閉会式では、東京家政大学常務理事の岩井絹江先生より、今回のセミナーの総括?講評をしていただきました。
今回のセミナーで先輩方が共通して言っていたのは「TFUでの4年間の学びが現在の保育者としての自信につながっている」ということでした。
我々学生もこの学生生活でしかできないこと、「やってみよう」の精神で保育について学び、保育の質の向上を目指していくことができればと思えたセミナーでした。
記事担当:上小路蓮
第2部では、TFU保育士?幼稚園課程の学生と、同じくTFU保育士?幼稚園課程の卒業生で、現在保育の現場でご活躍されている先輩方によるシンポジウムが行われました。
ファシリテーターとして
TFU教育学科4年生 伊藤葵さん
パネリストとして、
ケンパ?ラーニングコミュニティ協会池上園 保育士 高橋美羽さん
福島市立ひらの認定こども園 保育教諭 飯田悠夏さん
文京区立お茶の水女子大学こども園 保育士 伊藤ほのかさん
コメンテーターとして
宮城学院女子大学付属認定こども園森のこども園 保育教諭 大久保美紗さん(3年目)
現在、保育士として働いている平塚葵さん(6年目)
以上の6名の方々に、テーマに基づいた発題や討議をしていただきました。
第2部前半では、パネリストの3名から自身の大学生活や就職活動、現在の現場でのお話をしていただきました。
一人目の高橋美羽さんからは、「幸せな就職」と題したお話をしていただきました。お話を聞いて印象的だったのは、とにかく今の職場で働けて幸せ、休みの日も早く子どもたちに会いたいというお話でした。今の職場である、ケンパ?ラーニングコミュニティ協会池上園に出会ったのは4年の夏、そこの先生方の保育に対する向上心に惹かれ、3度保育参画をさせていただいたそうです。特に惹かれたのがM先生で、「保育って面白いなってすごく思う」とお話しするM先生の学び続ける姿勢に憧れを抱いたそうです。
3回目の保育参画の時に、高橋さんが子どもの椅子に座っていられない様子を見て、あえてマイナスな部分をM先生に聞いてみたところ、M先生は「私も悩んでいるんだよね。」と30分間そのことについて対話したそうです。
二人目の飯田悠夏さんからは、「就職活動から今日まで」と題したお話をしていただきました。飯田さんが働く、福島市立ひらの認定こども園は新設園であり、子どもたちみんなが新入園児であるため、慣らし保育や新人研修、行事などの忙しさに気を張り詰める日々を送っていたそうです。とうとうキャパオーバーとなってしまった飯田さんの様子を見た職場の先生方から「今の気持ちを全部吐き出して」と言っていただき、今の不安や葛藤、悩みを打ち明けたそうです。職員との対話をきっかけに、子どもとしっかりと向き合えるようになり、対話の大切さに気づくことができたとお話してくださいました。
三人目の伊藤ほのかさんからは、「学び続ける保育者」と題したお話をしていただきました。伊藤さんは学生時代のセミナーで先輩の「保育の魅力に惹かれていった」という一言からミシュラン?プロジェクトに入ったそうです。現在は文京区立お茶の水女子大学こども園で0歳児クラスの担任をしていらっしゃいます。
言葉では伝えることが難しい0歳児の担任をしていく中で、「私は見ているよ」という1対1の関わり、「この人は安心できる人だ」と感じてもらえるように関わる事を大切にしているとお話してくださいました。また、0歳児は人生の一番最初のとても大切な時期で、その1日の大半を一緒に過ごすという責任に日々気を引き締めて保育に臨んでいるそうです。
先輩方の発題を踏まえ、グループ内で学生による対話タイムが設けられました。
対話タイム後、学生から出た質問にパネリストの3名の先輩方に答えていただきました。
高橋美羽さん
Q:幸せと話していましたが、嫌なことはありませんか?
A:今のところはありません。ネガティブなことは考えないようにしています。後輩の皆さんには、実際に園に来ていただき、とにかくM先生の保育を見て欲しいです。
飯田悠夏さん
Q:新設園ならではの大変さはありますか?
A:運営する上での土台が固まっておらず、何か疑問に思ったことを聞いても「それ決まっていないんだ。相談してみるね」と、回答が来るまで待つことが多くなっているのが現状です。
伊藤ほのかさん
Q:保育をする中で日常的に感じることは何ですか?
A:0歳児クラスを担任していて、子どもはただ一人で遊んでいるわけではなく、「見てた?先生」と言わんばかりに大人を見ていることがあります。日常的に子どもから発信してきているため、保育者は教え込む存在というばかりではないと感じています。
質問への回答時間を終え、ファシリテーターを中心に発題者同士による討議が行われました。
まず、伊藤さんに対して、第1部で石山さんが発題していた、「ドキュメンテーション」を実際に現場ではどのように行っているのかと質問がなされました。
伊藤さんの園は、その中の一つの手段として「ポートフォリオ」というものを使っています。「ポートフォリオ」とは、保育中の子どもの様子を写真に収め、保育者から、そして保護者からのコメントを記録することでその時の子どもの様子を記録し溜め込んでいくというものです。伊藤さんの園では、先生同士で対話をする上で、楽しく自由な雰囲気の中で真剣に一つのことに向かって話す事を大切にしているそうです。楽しく、自由なやり取りをすることでより質の高い対話をすることができます。そんなやり取りの中で、子どもたちの育ちを共有しつつ、こういう姿があったから来月はこうしようという一つのツールとして活用しているそうです。
また、対話が行われる中で、「日常的な対話」というテーマが上がりました。対話によって、職員間の相互理解、関係構築、また、自分自身の保育の振り返り、子どもに対する気づきや成長等に関する情報共有をすることができます。
対話の方法やタイミングとして、LINEを活用したり、隙間時間や食事の時間などに小さな気づきを共有したり、非常勤の先生方とは付箋でやり取りをするなど、様々な方法を用いているそうです。自身の保育について言葉にすることで「こういう思いで保育をしていたんだ」と気づき、自分自身の視野や視点も広がり、良い保育につながっていきます。また、小さな気づきの積み重ねが一人ひとりの子どもに合った保育を一つの方向に向かわせることができます。
続いて、「キャリアアンカー」についてです。
キャリアアンカーとは、仕事をしていく中で揺るがないものを指します。コメンテーターの大久保さんは、どうにかして質の高い保育にできないか、日本の未来の社会のために、愛情を持って子どもと関わりたいとお話されていました。また、今後は日本のモデルとなる園を作ることを目指しているそうです。保育に正解はありませんが、保育のスタンダードを共有し、質の高い保育をする園を増やしていきたいそうです。
そして平塚さんは、子どもの健全な心の育ちを守ること、そして、学び続ける保育者になりたいとお話されていました。また、平塚さんは一度転職されており、新しい園でご活躍されています。園が変わってまた違う世界が広がっており、最初は不安だったそうですが、新しい保育の世界を知ることができてよかったという気持ちになったそうです。
さらに、学生生活と社会に出てからのギャップについて、職場の先生方には理想が高いと言われることもあるそうです。しかし、TFUでの4年間の学びがあったからこそ、理想を高く持つことができている、理想があるからこそ、現実とのギャップを感じた時に折れずにやっていけると皆さんおっしゃっていました。
閉会式では、東京家政大学常務理事の岩井絹江先生より、今回のセミナーの総括?講評をしていただきました。
今回のセミナーで先輩方が共通して言っていたのは「TFUでの4年間の学びが現在の保育者としての自信につながっている」ということでした。
我々学生もこの学生生活でしかできないこと、「やってみよう」の精神で保育について学び、保育の質の向上を目指していくことができればと思えたセミナーでした。
記事担当:上小路蓮