2020/12/03 保育士?幼稚園課程
保育実習指導Ⅰ
12月10日(木)5限の保育実習指導Ⅰでは、青葉保育園の木村智子先生とバンビの森子ども園の壹岐美津子先生から、リスクマネジメントについてご講話いただきました。
まずは、木村先生から「子どもの安全と事故防止」と題して、保育士は子どもの大事な命をお預かりしており、子どもの命を守ることは大人の責任であるとお話していただきました。大人の予防行動として中心となるものは、睡眠中の異常、誤嚥?誤飲、食物アレルギー、水の事故などであり、それぞれ注意点があります。
〇睡眠中の異常
午睡中に窒息してしまうことを防ぐため、うつぶせ寝を避けたり、表情が見えるように寝かせ、必ずチェックを行うことが必要です。
〇誤嚥?誤飲
「食べること=危険を伴う」という共通認識を職員全体で持つことや、こどもの嚥下発達を把握し、きちんと飲み込んでいるか確認することなどが必要です。
〇食物アレルギー
アレルギー児の食事の把握やきちんと提供されているかの確認をすることが必要です。
〇水の事故
水の深さと安全は無関係であること、子どもの人数を把握し、活動中も確認すること、プールに入る保育士と外から見る保育士とで役割分担を行うことが必要です。
また、転倒や衝突、転落などは、保育と安全のバランスを考えて対応する必要があるため、子どもの発達や園の環境を理解し、意識することが大切です。何より大切なのは、「職員の連携」です。担任同士はもちろんですが、担任以外の職員とも、『報(ほう)告』?『連(れん)絡』?『相(そう)談』をすることが大切になります。
次に、壹岐先生から、リスクマネジメントをどう図っていくか、ということについてお話しいただきました。現代では、転んだ時に手が出ず怪我をしてしまう子や、ラジオ体操でポキッと骨が折れてしまう子がいたりしますので、そうした現実を考えてリスクを低くしていく必要があります。
バンビの森子ども園の園庭は平らではないのですが、そのことが安全ではないと認識するならば、安全だとする平らな園庭では子どもたちの成長を考えると何のためになるのかと疑問が生まれます。海外では、発達のために山を登ったり、降りたりすることを大切したりする保育実践もあります。ハチの巣が危ないから撤去するのではなく、もしハチが来たら自分の身をどう守るのかを学ぶためにあえて残していたりするという海外の実践例を参考にして、バンビの森子ども園でも藤棚をおき、虫が来ることで自然と触れ合って学べるようにしているそうです。危険と隣り合わせで経験して学ぶことが自分の身の守り方などを覚えることができるとお話していました。リスクがあるからしょうがないと危ないものを撤去するのではなく、リスクがあるから何かを用意して保育士が調整できる環境を作ることが大切です。また、リスクがあることは保護者の方々にお話し、理解してもらうことが必要です。このようなリスクをマネジメントして、命を守っていくことを前提にしつつも子どもの豊かな育ちを支援していく環境を日々考えていくことが大切だとお話しいただきました。
学生からの質問にもお答えいただきました。
〇事前に保護者へリスクマネジメントに関することで伝えていることはありますか?
?園庭には大きい山やジャングルジムがあり、怪我をする要素が多いけれど、何のためにこうしているのかを伝えていたり、0歳のお部屋ではハイハイするために広くしていたり、成長に合わせて坂にしたりしていることなどを伝えています。(木村先生)
?子どもの発達や保護者の要望に合わせてこのような作りになっていることを伝えています。また、見学の時点で何のために必要なのか説明し、そのことに同意した方が入園しています。(壱岐先生)
〇現在、このような状況ですが、コロナ対策はどのように行っていますか?
?朝は子どもたちの検温を自宅でしてきてもらい、午後も保育園で検温をしたり、保護者の方で体調が悪い場合には送迎を控えてもらったりしています。(木村先生)
?丁寧に手を洗うことや、バイキング形式であったものは先生たちが配膳するようにしたり、布団の敷き方などにも気をつけたりしています。(壱岐先生)
保育士は、子どもたちの大事な命を預かっています。安全であることはもちろん大切ですが、ただ安全な環境に整えることが大切ではなく、子どもたちの成長を考えた上で危険と隣り合わせで経験して学ぶことも必要であるため、保育士は調整できる環境を作り、リスクをマネジメントしながら発達を支援していく、ということが今回の学びとなりました。
記事担当:成田有依