2021/12/04 保育士?幼稚園課程
TFU教育フォーラム2021(後半)
後半の部は、以下のような流れに沿って行われました。
<後半の部>
1.3歳以上児① 実践事例紹介
事例提供者:東京家政大学附属かせい森のおうち(保育所) 井上裕美子さん
(平成22年度奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】子ども科学部子ども教育学科 卒業)
2.3歳以上児② 実践事例紹介
事例提供者:宮城学院女子大学附属森のこども園(認定こども園) 大久保美紗さん
(平成28年度奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】総合福祉学部社会福祉学科 卒業)
3.ご講評
4.まとめ
まず始めに、3歳以上児の保育実践事例①の発表が行われました。
これは、保育内容5領域『健康』の内容「生活の環境が大きく変化した時、その当初は一人一人の生活のリズムを把握し、それらに応じながら、遊ぶ時間や食事の時間などに配慮することも必要である」に相応した事例です。
1.3歳以上児① 実践事例紹介
?クラス/年齢 3歳児
?時期 4月ごろ
?場面 好きな遊びから食事の場面
?場所 保育室
※これは、裕美子さんが別のこども園に勤めていた時のエピソードです。
【事例】
新しく子ども園に入園したSくんは、初めての集団生活のため、数日間は慣らし保育で、3日目から4日目で食事が始まり徐々に預かりの時間が長くなっていきました。初日から泣かずに生活をしており、気を張って過ごしていていたため、言葉数も少なかったです。
その後、数日間話しかけている中で興味のあるものが飛行機だとわかったので、Sくんと保育者で飛行機を作って遊ぶことになりました。その折り紙の飛行機を見て、他児が「ぼくもほしい!」と言ってSくんに飛行機を手に取ろうとした時、Sくんは初めて「いやだ!」と強く言葉を発しました。
初めて「嫌だ!」と主張したSくんに対して、私(裕美子先生)は、「そっか。嫌だったよね。大事な飛行機だもんね。」と言葉を掛けました。すると、Sくんはぽろぽろと涙をながしはじめ、次第に涙が止まらなくなり、「うわーん」と大きな声で泣き始めました。
以上が事例の内容になります。
このようなSくんの姿に接した裕美子先生は、まずはSくんが〈場所に慣れる〉?〈保育者に慣れて安心できる〉ようにするために、Sくんが好きな遊びを見つけられるように環境を整えたり、遊びを提案したりすることや、「私はあなたを気にかけていますよ」という言動のサインを送ることなどの関わりを丁寧に行いました。そうすることで、育まれた安心感を土台とし、Sくんにとって園が安心できる場所?保育者が安心できる存在となっていくと考えたようです。
また、「嫌だ!」とSくんが発言したことについて、
① 泣かずに気を張って過ごしていたSくんにとって、園で『初めて感情を表出した言葉』だと捉えた
② 初めての集団生活に緊張していたSくんが、『自分の気持ちを言葉にできた』ことを、Sくんの「成長」としてプラスに捉えた
このように、裕美子先生は、Sくんが発達していく場面を見逃さずに捉え、その後の姿への願いをもって関わっていったそうです。
そして、「そっか、嫌だったよね。」という言葉は、Sくんの気持ちを受容し、共感するもの、そして、「大事な飛行機だったもんね」という言葉は、Sくんの気持ちを丁寧に代弁するものであります。その言葉掛けから、子どもたちが、友達の大切にしているものに気付き、思いやりの気持ちをもつという姿に繋がっていくことを、裕美子先生は願い、こうした関わりを行ったのではないでしょうか。
3歳児の年度末になる頃には、Sくんが鬼ごっこやままごとの中に入って友達と楽しく遊ぶ姿がたくさん見られるようになりました。
このように、丁寧に思いを受け止めてもらい、言葉で表現してもらったことによる充足感や安心感を土台として、友達や保育者との言葉のやり取りを通した関わり(言葉)を深めてきたこと、友達と一緒に体を動かすことを楽しい?心地よいと感じること(健康)が蓄積していき、10の姿である「言葉による伝え合い」?「健康な心と体」に繋がっていくと考えます。
<後半の部>
1.3歳以上児① 実践事例紹介
事例提供者:東京家政大学附属かせい森のおうち(保育所) 井上裕美子さん
(平成22年度奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】子ども科学部子ども教育学科 卒業)
2.3歳以上児② 実践事例紹介
事例提供者:宮城学院女子大学附属森のこども園(認定こども園) 大久保美紗さん
(平成28年度奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】総合福祉学部社会福祉学科 卒業)
3.ご講評
4.まとめ
まず始めに、3歳以上児の保育実践事例①の発表が行われました。
これは、保育内容5領域『健康』の内容「生活の環境が大きく変化した時、その当初は一人一人の生活のリズムを把握し、それらに応じながら、遊ぶ時間や食事の時間などに配慮することも必要である」に相応した事例です。
1.3歳以上児① 実践事例紹介
?クラス/年齢 3歳児
?時期 4月ごろ
?場面 好きな遊びから食事の場面
?場所 保育室
※これは、裕美子さんが別のこども園に勤めていた時のエピソードです。
【事例】
新しく子ども園に入園したSくんは、初めての集団生活のため、数日間は慣らし保育で、3日目から4日目で食事が始まり徐々に預かりの時間が長くなっていきました。初日から泣かずに生活をしており、気を張って過ごしていていたため、言葉数も少なかったです。
その後、数日間話しかけている中で興味のあるものが飛行機だとわかったので、Sくんと保育者で飛行機を作って遊ぶことになりました。その折り紙の飛行機を見て、他児が「ぼくもほしい!」と言ってSくんに飛行機を手に取ろうとした時、Sくんは初めて「いやだ!」と強く言葉を発しました。
初めて「嫌だ!」と主張したSくんに対して、私(裕美子先生)は、「そっか。嫌だったよね。大事な飛行機だもんね。」と言葉を掛けました。すると、Sくんはぽろぽろと涙をながしはじめ、次第に涙が止まらなくなり、「うわーん」と大きな声で泣き始めました。
以上が事例の内容になります。
このようなSくんの姿に接した裕美子先生は、まずはSくんが〈場所に慣れる〉?〈保育者に慣れて安心できる〉ようにするために、Sくんが好きな遊びを見つけられるように環境を整えたり、遊びを提案したりすることや、「私はあなたを気にかけていますよ」という言動のサインを送ることなどの関わりを丁寧に行いました。そうすることで、育まれた安心感を土台とし、Sくんにとって園が安心できる場所?保育者が安心できる存在となっていくと考えたようです。
また、「嫌だ!」とSくんが発言したことについて、
① 泣かずに気を張って過ごしていたSくんにとって、園で『初めて感情を表出した言葉』だと捉えた
② 初めての集団生活に緊張していたSくんが、『自分の気持ちを言葉にできた』ことを、Sくんの「成長」としてプラスに捉えた
このように、裕美子先生は、Sくんが発達していく場面を見逃さずに捉え、その後の姿への願いをもって関わっていったそうです。
そして、「そっか、嫌だったよね。」という言葉は、Sくんの気持ちを受容し、共感するもの、そして、「大事な飛行機だったもんね」という言葉は、Sくんの気持ちを丁寧に代弁するものであります。その言葉掛けから、子どもたちが、友達の大切にしているものに気付き、思いやりの気持ちをもつという姿に繋がっていくことを、裕美子先生は願い、こうした関わりを行ったのではないでしょうか。
3歳児の年度末になる頃には、Sくんが鬼ごっこやままごとの中に入って友達と楽しく遊ぶ姿がたくさん見られるようになりました。
このように、丁寧に思いを受け止めてもらい、言葉で表現してもらったことによる充足感や安心感を土台として、友達や保育者との言葉のやり取りを通した関わり(言葉)を深めてきたこと、友達と一緒に体を動かすことを楽しい?心地よいと感じること(健康)が蓄積していき、10の姿である「言葉による伝え合い」?「健康な心と体」に繋がっていくと考えます。
以上のことから、大人から一見するとマイナスな言動に見えてしまうことも、角度を変えてプラスとして見ると、子どもの「成長」と言えるような場面は数多くあると思います。しかし、そう捉えるには日ごろの子どもの様子や、日常の中にある姿や発言を見逃さず、発達過程の中に位置づけて捉えていくことが大切であると学ぶことができました。
次に、3歳以上児の保育実践事例②の発表が行われました。
この事例も、保育内容5領域『健康』に相応した事例です。
2.3歳以上児② 実践事例紹介
?クラス/年齢 4歳児
?時期 8月ごろ
?場面 かけっこをしている場面
?場所 北園庭
【事例】
4歳児クラスのYくんは文字や数字がとても好きで、室内で絵本や図鑑を読むことが好きでした。また、Yくんは3歳児クラスで入園した時から友達との関わりが少なく、集まりやみんなで1つのことをやり遂げようとしている時も、集団を気にせず1人で黙々と絵本や図鑑を読むことが多かったです。
9月下旬の運動会に向けてかけっこを行う際、Yくんは走っている最中とても真剣な表情で一生懸命走り、ゴール直前に自分が最後だと分かると今にも泣きそうな顔でゴールし、そのまま担任(美紗先生)の胸に飛び込んで声を上げながら大泣きしました。そのようなYくんを見て、美紗先生は「一生懸命走ってたね。最後まで走り切れて偉かったよ。」と言葉を掛けましたが、声を上げて泣き続けており、その様子から最後にゴールしたことが悔しかったということが分かったため「悔しかったね。」と言葉を添えました。
その後、何度かのかけっこの際に、Yくんが1番でゴールできた時がありました。美紗先生は「Yくん!やった!」とハイタッチをしたが、Y児は走りきった達成感を感じているかのようで意外にも言葉は発しませんでした。
しかし、その日保護者がお迎えに来た際に、美紗先生がY児のかけっこの様子を伝えようとすると、Yくんが自ら「おかあさん!ぼくきょういちばんだったよ!」と嬉しそうに話し、Yくんの母も「やったね!Yくん!」と抱きしめ、とても嬉しそうに笑顔で担任の話を聞いていました。
以上が事例の内容です。Yくんは、はじめは流れでかけっこに参加していましたが、最後にゴールしたことから悔しさを感じながらも挑戦をし続け、1番にゴールできたときには達成できた喜びを感じ、その後は体を動かす気持ち良さや喜びを感じるような変化(成長)が見られる事例でした。
このような変化が見られたのは、順位関係なく走ることに対する真剣な姿や走り切ったことを保育者が認め、「悔しい」という気持ちを受け止める言葉がけを行うこと、またより気持ちを表に出すことができるように信頼する保育者がスキンシップを行うことで、次もやってみようという意欲や挑戦する姿勢が育っていったからではないでしょうか。
これらの姿は10の姿に当てはめて考えると、「健康な心と体」?「自立心」?「豊かな感性と表現」?「思考力の芽生え」?「道徳性?規範意識の芽生え」、そして5領域の中の「言葉」や「表現」にも関連していると考えられます。
その後、美紗先生は、さらに「自分の良さや友だちの良さに気付き、認め合いながら、仲間意識が芽生える」、「仲間と一緒に目的をもった活動を行い、仲間と一緒に創り上げることのへの喜びや充実感を味わう」、「安心して自己主張できる関係性を築く」という姿が育ってほしいと考えました。
そのために、「どんどん友達と遊んで、楽しいことを経験してほしい」、「みんなで一つのものを作り上げて達成できた喜びを感じてほしい」という願いを込めてYくんに関わりました。
次に、3歳以上児の保育実践事例②の発表が行われました。
この事例も、保育内容5領域『健康』に相応した事例です。
2.3歳以上児② 実践事例紹介
?クラス/年齢 4歳児
?時期 8月ごろ
?場面 かけっこをしている場面
?場所 北園庭
【事例】
4歳児クラスのYくんは文字や数字がとても好きで、室内で絵本や図鑑を読むことが好きでした。また、Yくんは3歳児クラスで入園した時から友達との関わりが少なく、集まりやみんなで1つのことをやり遂げようとしている時も、集団を気にせず1人で黙々と絵本や図鑑を読むことが多かったです。
9月下旬の運動会に向けてかけっこを行う際、Yくんは走っている最中とても真剣な表情で一生懸命走り、ゴール直前に自分が最後だと分かると今にも泣きそうな顔でゴールし、そのまま担任(美紗先生)の胸に飛び込んで声を上げながら大泣きしました。そのようなYくんを見て、美紗先生は「一生懸命走ってたね。最後まで走り切れて偉かったよ。」と言葉を掛けましたが、声を上げて泣き続けており、その様子から最後にゴールしたことが悔しかったということが分かったため「悔しかったね。」と言葉を添えました。
その後、何度かのかけっこの際に、Yくんが1番でゴールできた時がありました。美紗先生は「Yくん!やった!」とハイタッチをしたが、Y児は走りきった達成感を感じているかのようで意外にも言葉は発しませんでした。
しかし、その日保護者がお迎えに来た際に、美紗先生がY児のかけっこの様子を伝えようとすると、Yくんが自ら「おかあさん!ぼくきょういちばんだったよ!」と嬉しそうに話し、Yくんの母も「やったね!Yくん!」と抱きしめ、とても嬉しそうに笑顔で担任の話を聞いていました。
以上が事例の内容です。Yくんは、はじめは流れでかけっこに参加していましたが、最後にゴールしたことから悔しさを感じながらも挑戦をし続け、1番にゴールできたときには達成できた喜びを感じ、その後は体を動かす気持ち良さや喜びを感じるような変化(成長)が見られる事例でした。
このような変化が見られたのは、順位関係なく走ることに対する真剣な姿や走り切ったことを保育者が認め、「悔しい」という気持ちを受け止める言葉がけを行うこと、またより気持ちを表に出すことができるように信頼する保育者がスキンシップを行うことで、次もやってみようという意欲や挑戦する姿勢が育っていったからではないでしょうか。
これらの姿は10の姿に当てはめて考えると、「健康な心と体」?「自立心」?「豊かな感性と表現」?「思考力の芽生え」?「道徳性?規範意識の芽生え」、そして5領域の中の「言葉」や「表現」にも関連していると考えられます。
その後、美紗先生は、さらに「自分の良さや友だちの良さに気付き、認め合いながら、仲間意識が芽生える」、「仲間と一緒に目的をもった活動を行い、仲間と一緒に創り上げることのへの喜びや充実感を味わう」、「安心して自己主張できる関係性を築く」という姿が育ってほしいと考えました。
そのために、「どんどん友達と遊んで、楽しいことを経験してほしい」、「みんなで一つのものを作り上げて達成できた喜びを感じてほしい」という願いを込めてYくんに関わりました。
今回の事例では、運動会を控えていたことから体を動かす活動に重きを置いて活動を行っていましたが、体の面だけでなく、かけっこを通して走ることの楽しさや、友達と一緒に体を動かすことの楽しさを知ることができるような、保育者としての姿を学べる事例だったと思います。
以上のように4つの事例報告を中心に展開し、本日の教育フォーラムは終了を迎えました。
最後に、次の4名の方からご講評を頂きました。
1)緑ヶ丘第二幼稚園 園長(理事長) 三塚薫先生
2)宮城県総合教育センター 指導主事 本田結城子先生
3)中村学園大学 教授 那須信樹先生
4)仁愛大学 副学長?教授 石川昭義先生
ご講評の中に、「現在はコロナの影響で心にパワーがなくなりつつある子どもも多くいますが、子どもをしっかりと見て、子どもたちの育ちを支えてくれる先生になってほしいと期待しています」という言葉がありました。奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】など様々な時代や社会の変化がありますが、子ども達の成長にそれらに関する悪い影響がないよう、しっかりと対応しながらも、何気ない日常の場面や、一つひとつのやり取りを大切にしていきたいと思いました。
最後に、学生から会全体のまとめが行われ、本日のフォーラムは終了しました。
今まで保育を学んできた中で、「5領域」と「10の姿」は何度も耳にしてきましたが、実際の事例と照らし合わせ、さらに発達過程の観点でも捉えることでよりイメージがしやすく、そして深い学びとなったのではないでしょうか。
発達プロジェクトの4年生が毎日夜遅くまで作ってくれた発表内容?資料は、参加した人にとっても貴重な資料の1つになったと思います。
以上のように4つの事例報告を中心に展開し、本日の教育フォーラムは終了を迎えました。
最後に、次の4名の方からご講評を頂きました。
1)緑ヶ丘第二幼稚園 園長(理事長) 三塚薫先生
2)宮城県総合教育センター 指導主事 本田結城子先生
3)中村学園大学 教授 那須信樹先生
4)仁愛大学 副学長?教授 石川昭義先生
ご講評の中に、「現在はコロナの影響で心にパワーがなくなりつつある子どもも多くいますが、子どもをしっかりと見て、子どもたちの育ちを支えてくれる先生になってほしいと期待しています」という言葉がありました。奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】など様々な時代や社会の変化がありますが、子ども達の成長にそれらに関する悪い影響がないよう、しっかりと対応しながらも、何気ない日常の場面や、一つひとつのやり取りを大切にしていきたいと思いました。
最後に、学生から会全体のまとめが行われ、本日のフォーラムは終了しました。
今まで保育を学んできた中で、「5領域」と「10の姿」は何度も耳にしてきましたが、実際の事例と照らし合わせ、さらに発達過程の観点でも捉えることでよりイメージがしやすく、そして深い学びとなったのではないでしょうか。
発達プロジェクトの4年生が毎日夜遅くまで作ってくれた発表内容?資料は、参加した人にとっても貴重な資料の1つになったと思います。
本日の教育フォーラムでの学びは、これからの実習、そして保育現場での実践でも生かせることが多々あったと思います。
本日の資料を大切にし、積極的に活用しながら、引き続き学びを掘り下げていきましょう!
記事作成:大槻優希子、島貫莉花子
本日の資料を大切にし、積極的に活用しながら、引き続き学びを掘り下げていきましょう!
記事作成:大槻優希子、島貫莉花子