VOL.03 AUGUST 2002 【学習サポート】 【現場から現場へ】
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【現場から現場へ】[INTERVIEW] スクールカウンセラーの仕事(話し手)スクールカウンセラー スクールカウンセラーは,小?中?高校で児童生徒,教員,保護者が抱える不安や悩みを受けとめ相談に乗る専門職です。文部省(現 文部科学省)の政策で1995年から試験的に導入が始まり,現在,非常勤ながらも中学校への全校配置がめざされています。本日は,スクールカウンセラーとして働いておられる青空まゆみさん(仮名)にお話を伺いました。 Q.どういった学校で働いておられるのですか。 中学校2校(1校あたり週2回)と高等学校2校(1校あたり月1?2回)行っています。中学校と高等学校では生徒からの相談内容がかなり違います。 Q.現在,非常勤という立場で働いておられるスクールカウンセラーが多いようですが。 そうですね。非常勤ですと身分が不安定で自信をもって仕事ができない,という面もありますが,よいように考えれば学校組織に完全には所属していないほうが生徒が相談しやすいという面があるかもしれません。先生には相談できないことを受け止めるのが私たちの役割かもしれませんので。 Q.スクールカウンセラーのお仕事って,具体的にどのようなものですか。 中心は,生徒たちの相談に乗ることです。しかし,相談室にじっとしていても悩みをかかえた生徒が来てくれるとは限りませんので,給食を教室でいっしょに食べたり,授業時間中は保健室に行って保健室登校している生徒と話したりして,気軽に相談に来てもらえる関係づくりをしています。保護者の方と面談したりもします。 Q.悩みをカウンセラーさんに相談するというのは,子どもにとっても勇気のいることのような気がするのですが,最初はどのような形で相談に来るのでしょうか。 高校生の場合は,具体的な相談内容をもって相談室に来ることが多いです。中学生の場合は,最初は友だちと何人かで様子を見に来るような感じで来て,慣れたころに困っていることを持ちかけられることが多いです。悩みを話しても大丈夫な人かどうかを子どもなりに判断しているのだと思います。 Q.相談内容はどのようなものが多いのでしょうか。 人間関係に関するものが一番多いです。「クラスでうまくいっていない」「友だちや先生との折り合いが悪い」「学校に慣れない」から「いじめられている」まで,さまざまなものがあります。 Q.相談にはどのように対処されるのでしょうか。 話しを聞くだけで問題が解決するものもあります。また,生徒本人の一面的な見方が問題の場合は,その見方を変えていけるようヒントを与えればよいケースもあります。たとえば「一番でなければいけない」「親の期待にこたえなければいけない」などを信じて疑わない子どもが,それにこたえられずに落ち込んだり,イライラしている場合です。ただし,親の価値観が一面的でその見方を否定する面がある場合は気をつかいます。 Q.不登校の子どもにはどう対処されますか。 ケースによって違いはありますが,基本的には「登校することが最終目標ではない」という姿勢で取り組んでいます。相談を受けるなかで「やめずに卒業したい」という意志がはっきりすれば,これ以上休むと卒業できなくなるなど,現実を直視させ,指導的な立場で話すこともあります。また,その子自身が一歩を踏み出す時まで,不登校の状態に根気強くつきあうこともあります。 Q.大学?大学院で学んだ臨床心理学は,どのようなかたちで役にたっていますか。 生徒たちと接するときは,精神分析だ,フォーカシングだといった理論をおしつけるわけにはいきません。また,遊戯療法,絵画療法,箱庭といったものも私はあまり使いません。これは,病院で働くカウンセラーの方とは少し違うかもしれません。 Q.スクールカウンセラーとしてやっていくうえで,大切なことは何でしょうか。 「目の前にいる人からすべてが始まる」ということが大原則でしょう。カウンセラーという職業はカウンセラーのためにあるのではなく,悩みをかかえた方々のためにあるわけですから。 Q.求人はどこで見つけることができますか。 現在,スクールカウンセラーの求人の多くが,心理学系の大学院を出て「臨床心理士」の資格をもっている,または受験資格を有する人という条件つきのところが多くなっています。求人は,都道府県や市町村の公募,または大学院の先生の紹介で決まることが多いです。 どうも,ありがとうございました。 |