【学習サポート】
[質問コーナー] 福祉ボランティア活動
担当 小野 芳秀 講師
Q 福祉ボランティア活動の評価の対象になるボランティア活動には,何か制限がありますか。
A 「福祉ボランティア活動」は,学生の自発的な意思(自発性)に基づくボランティア活動に対して評価を行うものです。
ボランティア活動を始めるきっかけは,友人に誘われたり,あるいは積極的にボランティアセンターや広報誌の募集依頼の中から自ら探して始める等,さまざまあります。各種ボランティア講座を受講して,予めプログラムの中に組み込まれているボランティア活動に参加することも,これらのきっかけに含まれます。
一方,福祉施設などで行われる「実習」は,活動者(実習者)自身が介護技術や施設業務等を修得することが本来の目的であり,活動者自身の利益が優先されていると考えられるため,ボランティア活動の基本的理念として挙げられている,「自発性」「公共福祉性」「無償性」のうち,「公共福祉性」においてボランティア活動とは別種のものと見なします。
何がボランティアで何がボランティアでないかをはっきり線引きすることは非常に難しく,特に本科目のように直接活動を見ていない第三者が評価する場合において,評価対象を選定する際の限界となっています。現在,学校教育に積極的にボランティア活動が導入されていますが,生徒たちが全て「自発的」に活動しているかというと必ずしもそうではないと思われます。活動者である生徒が「授業としてボランティア活動をやらされている」と感じた時点で,それをボランティアと呼べるのかどうか疑問です。ボランティアをしたくない生徒に対して,別の課題なり活動が用意され,生徒の「自発性」に基づく選択が配慮されているのであれば,ボランティアを選択した生徒は「授業がきっかけとなってボランティア活動をしている」と言えましょう。
たとえば,ボランティア活動講座で体験的に行うボランティア活動を「きっかけ」として捉え,技術やノウハウの修得よりも,対象者への思いやりや支援,あるいは対象者と一緒に何かをすることの喜びが優先するのであれば,それはボランティア活動であると言えるのではないでしょうか。
以上,ボランティアかそうではないかは,活動者の心の持ち様に左右されるため,第三者が主観的な領域にまで踏み込んで,評価の対象かどうかを判断することは不可能です。また,評価する側の立場によって,その基準は変わってきます。
さまざまな動機やきっかけがあるにせよ,肝心なことは「実際にどのような活動を行ったか」という行為そのものであり,本科目において直接的に活動そのものを評価することはできません。
あくまでも「福祉ボランティア活動」という科目は,指定された項目に従って記述されたレポートから,自身が活動を客観的に振り返り,活動を通じてどのような「気づき」があったのかを評価します。