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VOL.42 MARCH 2007 【学習サポート】 【現場から現場へ】 【5月科目修了試験のご案内】 【春期スクーリングIII?V】 【通信制大学院コーナー】 【4月新入生の方へ】
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【学習サポート】[心理学概論] レポートを書こう(3単位め)40号?41号で,「心理学概論」の1?2単位め課題を題材にして,レポートを書く際の取り組み方の一例を示してみました。今号では,3単位め課題を題材にして,私がどこを勉強したか,何を考えたかを紹介できればと思います。 3単位め課題は「知覚とは,刺激を受動的に感受することではなくて,人が情報を能動的に『つかみとる』働きであることを,具体的な事実をあげて,わかりやすく説明しなさい」です。 この3単位めの課題,最初に読んだときはさっぱり何のことかわからなかったです。その場合は,とりあえず文章を繰り返し読むしかないですね。 「知覚とは」,見ること,聞くことなどのことですね。教科書?三訂版ではp.117に知覚の説明がちゃんと載っていますね。残念ながら改訂版のほうの知覚の説明は初心者にはわかりにくいもの(学問的には正確だろうけど)です。はじめて心理学を勉強する人には,「知覚」ということばが具体的に何をさしているのか教科書にわかりやすい説明がほしいところです。 ☆ 「メロディーは音の中に存在するのではありません。音と音との時間的関係から人が読み取るのです」。 「ド?ソ?ド?シドレ?ド」というメロディーは,ドの音,ソの音などひとつひとつの音からできているけど,ひとつひとつの音をいくら調べても,メロディーのきれいさはわからない。音と音のつながり方でメロディーが決まるという意味ならばわかりますが,人が読み取るという点がいまいちわかりません。 「映画のフィルムのひとコマひとコマの映像は静止画像であって……しかし,静止画像の連続のなか,人は『動き』をみる」。 ここでも,ひとつひとつ細かく分けて見ていくと「静止画像」にいきついて,映画の動きは解明できない,といったことが言われています。これは,『福祉心理学科スタディ?ガイド』p.50で書かれているデカルトの「切断」(細かい要素に分解)vs「統合」ということと関連しているように思います。 『レポート課題集』のアドバイスに戻ります。「カメラで人物を低いアングルから撮影した写真でみると,その人物の脚がとても長い。ところが……」 人物を撮ることに熱中していると他のことが見えなくなってしまう,ということでしょうか。「知覚は刺激には忠実ではなく,その現実的意味に忠実なのです」ということは,心理学実験Iで行うような「錯視」の例,こわいものは大きく見える,気になることはよく聞こえる(カクテルパーティ現象)などが考えられ,「情報を能動的につかみとる」働きであることに気づかされます。 次の段落の文章「知覚という心の働きによって,人は生きる上に必要な環境の情報を読み取り,それを手がかりとして,自分の行動を決定する」。 心理学のひとつの「説明」の仕方として,何か心の働きは,生きる上で必要だからある,適応のためにある,進化の結果あるということを言うようです。自然のなかでエサをとるために,または食べられてしまわないために必要なのが知覚という説明ですね。人間の場合,信号を知覚して赤だったら止まらないと危ないといった物理的環境だけでなく,上司と話すときその人の表情を見ながら話さないと怒り出すかもしれないというような社会的(=人間関係的)環境も大切でしょうか。 ☆ ここまででも随分大切なことが書かれていました。次に教科書を読んで,レポートを書くためのネタさがしです。これも,アドバイスにキーワードがないので,「知覚」が書かれている改訂版4章,三訂版5章を最初から読んでいくしかないようです。 ☆ 改訂版p.81「知覚に際しては,注意とかまとめ方の面で過去の経験からの知識ないし枠組みが関与してくる」 これは「能動的につかみとる」(いらない情報を切り捨てる)ことの大きなポイントでしょうね。たとえば次のようなことがあるでしょう。
改訂版p.81「知覚も記憶も,単に感受したりという……受動的な過程ではなくて」 このことについて,さまざまな例がその後の教科書にはたくさん書かれています。このあたりのことを書くのが一般的にこのレポートに答えたことになるようです。
☆ さらに教科書を読んでいくと,改訂版p.136の発達心理学で勉強する赤ちゃんは母親と母親以外の声の区別ができてかつ母親の声によく反応するというような話(選考注視法ほか 三訂版p.76?80?改訂版p.132?136),社会心理学で勉強する「認知的不協和理論」(三訂版p.12?改訂版p.58)とか「コインの社会的認知の実験」(三訂版p.8?改訂版p.49;いかにもアメリカ的で個人的にはイヤな研究結果だと感じますが……)もこのような面があると思います。なお,「アフォーダンス」という最新の知覚の考え方から書くのもよいでしょう。 ☆ 私たちは,完全ではなく聖徳太子のように一度に7人の話を聞くことはできないわけで,何かを切り捨てている点でどんな知覚も受動的ではないのでしょう。すべてのことが知覚されたら,気がおかしくなってしまうかもしれません。 (通信教育事務部 古藤隆浩) |