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VOL.46 SEPTEMBER 2007

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[社会福祉援助技術現場実習]
社会福祉援助技術現場実習を終えるまで

通信教育部 社会福祉学科(9月卒業) 砂金 昌明

◆1 実習開始前

 社会生活を営む上で,また有意義な人生を営むためには目標となるものが必要と考えました。当初,社会福祉士の資格取得以外にもいくつかの選択肢がありましたが,大学の学士と国家資格を同時に取得したいと考え入学を決意しました。この時点では,卒業資格と社会福祉士の資格の価値観は同列的な位置だったと思います。しかし,日々の勉強を重ねることにより社会福祉士が担う役割,今後の少子高齢化社会で社会福祉士が必要とされる意義を学ぶことにより,次第に社会福祉士の資格を取得したいと思う気持ちが高まってきました。
 学習を始める前に,意気消沈する出来事がありました。皆さんの中でも思い当たる方,また,今現在も直面している方がいるのではないかと思います。それは,履修登録した教科書が送られてきた時の事です。ダンボールをあけるまでは,通信販売で購入した“お楽しみ商品”を取り出す気持ちでしたが,教科書の冊数とレポート課題などの超えるべきハードルの数々に,どこから手をつけてよいのか分からない状態となってしまいました。実際,最初のレポート(社会学)を提出したのは夏になってしまいました(笑)……(その間の思考:「このまま卒業できなければ授業料を無駄にしてしまうのではないか,なんのために入学したのか……と自分に問い正しました」)。
 ちなみに,私の基本的な勉強方法ですが,まず,教科書を読むことを心がけました。一度で理解できなければ,二度読み(時間がかかります),“なんとなく”を頭の中に入れてから,スクーリングに挑みました。また,スクーリング終了時にはテストが控えていましたので,レポートも極力提出に近い状態に仕上げておきました。実際,働きながらの勉強でしたので,睡眠時間がかなり削られる結果となりましたが,今となっては良い思い出となっています……(実際,入学時の苦労はなかったので,入学後の厳しさは当然のことと言い聞かせたため,寝不足は苦になりませんでした)。
 実習に行く前に大事なことは「実習先」を選定することですが,特に社会人(一般企業)だと,福祉の世界に無縁であるため,実習前に少しでも実践に触れる事が必要だと思います。何故ならば,“百聞は一見にしかず”といわれる通り福祉を理解するためには,実践に勝るものがないと考えたからです。私の場合は,社会福祉協議会にボランティア登録し(職員の方と自分に合ったボランティアを探しました),実際に障がいを持つ方々とふれあいの場を探しました。そして,ボランティア会場で偶然に職員として働いていた友人(本当の話です)から,知的障がい者更正施設の職員の方を紹介してもらい,体験学習→実習へと繋げることができました。余談ですが,社会生活を営むということは,人と人の繋がりであり,決して軽視できるものではありません。それ故に,普段から良好な人間関係の構築が必要だと改めて感じさせられました。

◆2 実習中

 実習は知的障がい者更正施設で学びました。正直,右も左もわからない状態で,環境に慣れないまま学ぶには長すぎる期間と当初は思いましたが,見ること全てが未知なる環境での24日間は決して長いものではありませんでした。また,実習期間での目標は多々ありますが,その中でも,利用者の方々との信頼関係を築くことと,今まで学習してきた知識と実践での統合を図ることに重点を置いて実習に挑みました。
 ここでひとつ,社会人としてどのように実習するに至ったか,気になるのではないかと思いますのでお答えします。結論は,実習前に会社を退職することを決意しました。実際,一般企業で24日間を休むことは不可能であり,たとえ2週間のスパンに分けても無理だったからです。会社を辞めることに対し,「よく辞める決心がついたね」と言われるが,私の場合,一般企業に勤めながら,転職として福祉の職業に従事しようと思っていたので,実習時期=辞める時期が来たのだと,単純に物事を考えてしまいました。これらは,個人差があると思いますが,資格を取得し,その仕事に従事しようとすれば必ず訪れる瞬間だと思いますので,あまり躊躇することではなく,初志貫徹することが優先されるのではないかと思います(事前準備は必須)。
 実習内容は,社会福祉士としてよりも,むしろ介護関係の実習に感じられました。それは,利用者さんとの関係を醸成することに重点が置かれた実習だったからです。主な内容は,利用者さんの生活支援,作業支援がほとんどであり,社会福祉士としての生活相談の実践を学ぶことはかないませんでした。ただ,今になって振り返ると,24日間の短い期間で,相談援助に携わることは不可能であり,仮に相談の現場に同席することができたとしても,相談者が本心を語ったかどうかはわからないからです。むしろ,利用者さんとふれあいを通して,私に対する感情の変化を毎日実感することこそが,利用者理解,信頼関係の構築,そして,個々が唯一的な存在として認識することができたのではないかと改めて思うことができたからです。
 実習中に感じたことは,実習生だからといって決して“お客さん”であってはいけないことです。この点は,自分を実習先の職員と仮定して考察するとよくわかると思います。そして,業務全体の流れでは,分からないことが多く,また自分の判断で動くことができないもどかしさを体験することになると思います。ですからなおのこと,ぶっつけ本番で実習に挑むのではなく,少なくても実習先と同じ施設等にてボランティアなどを通し,その概要と実務を学ぶことが先に必要になってくると思います。きっと,見ず知らずの施設を訪れることに躊躇すると思いますが,“当たって砕けろ”精神で訪問してはいかがでしょうか? 何事も経験であり,努力することは必ず将来の糧となり無駄になることは無いからです。

◆3 実習後

 実習目的のひとつである,理論と実践の統合を図ることに近づくことができたと思います。社会福祉士として就労する分野は多々あると思いますが,それぞれの福祉カテゴリーをどのように捉えるかにより実習の成否が決まるのではないかと思います。それは将来進みたいと思う分野で理解を深めることを意味しますが,別な考え方も意味しています。たとえば将来的に,老人福祉に携わりたい,しかし,児童?知的障がいの分野も経験してみたいということです。さまざまな分野での経験は自分の選択肢を広げるものであり,積極的に行動することが自己の向上につながるものと考えます。
 社会福祉士の資格は“名称独占のみで業務独占ではない”と言われますが,やはりないよりは,あったほうが良いと考えます。また,相談業務に従事したいと考えるならばなおの事です。私も,折角,受験資格を得たのですから,気持ちの萎えないうちに取得したいと思います。

 『With』で掲載されている体験談によく書かれていることですが,スクーリング参加の利点は計りしれません。私も同様にスクーリングに参加することにより,よい刺激と励ましを得ることができたからです。スクーリングは,実際に同じ境遇の方やそれらを乗り越えた方々と出会うことができる場であり,そこで何度か顔を合わすうちに自然と会話し,情報交換などを交わす“学友”ができたからです。このような観点から,スクーリングに積極的に参加し,まわり(となり)に座っている学友に話し掛けてはいかがでしょうか?(最初のスクーリングから社会福祉士実習事後指導まで一緒だった方もいました)。きっと自分にとってプラスの効果が現れると思いますよ。

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