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2020/09/02

教育コラム:同時双方向型と動画配信型を併用したオンライン授業設計 ー「英語科概論」の実践ー

初等教育専攻 伊勢恵 准教授(小学校英語科教育)

併用した2つの理由

オンライン授業を実施するにあたり、2つの理由から同時双方型と講義動画配信型を併用する授業を設計しました。

1つ目は「英語科概論」という科目の特性によるものです。この科目では、小学校外国語教育や英語に関する基本的知識に加え、それらが授業ではどのように活用されるのかといった実践を意識して学習を進めます。そのため、講義動画や資料提示のみでは従来通りの指導が難しく、同時双方向型授業を取り入れる必要がありました。画面の向こう側で学生が声を出しながら参加してくれていることを期待し、出来るだけ指導例や活動例、教材を紹介して体験する時間を確保しました。

2つ目の理由は履修者数の多さです。週に2度開講していますが、それぞれ97名と85名の履修者がおり、同時双方向型での一斉授業には不安がありました。そこで、クラスを2つに分けて各グループの人数を50名以下にし、同時双方型と動画配信型を併用して学生を入れ替える授業を設計しました。

 

(月曜3限 履修者97名の場合)

 

12:35~13:15

10分間

13:25~14:05

Group 1 (49)

?同時双方型授業

学生入替

?講義動画+確認テスト

?教室英語の自主練習

Group 2 (48)

?講義動画+確認テスト

?教室英語の自主練習

?同時双方向型授業

 

それぞれにおいてめざしたもの

【同時双方向型】
?教材や実践例を通して、外国語教育および英語に関する基本的理解を深める。
?実践例や教材を児童の立場から経験して、教師の発話の仕方やインプットの与え方、児童の学びの特徴を知る。
?学生は毎時間、チャット機能を活用して感想をまとめる。
?学生に発言機会を与える等、学習意欲を維持できるような指導をする。

【講義動画配信型】
?外国語教育および英語に関する基本的知識について、分かりやすく説明する。
?1本の講義動画を15分以下で作成する。
?講義動画のPDF版も提示し、必要に応じて視聴しながらの書き込みができるようにする。
?毎回確認テストをし、理解度が確認できるようにする。

オンライン授業での学生の学び(第15回目授業の感想より)

?実際の活動方法を毎回提示してくださっていたので、実践の時にも役立てるし参考になるものがたくさんありました。子どもの目線に立って正しく大量のインプットを与えられるように自分自身が世界の文化や言葉、スポーツやニュースなどにも目を向けて子どもたちに還元できるように学び続けたいと感じました。

?英語科概論を受講して書くこと?聞くこと?話すこと等色々な面での授業の実践例を知り、自分も画面には写ってはいませんでしたが楽しく英語のゲームや絵本に参加させていただきました。私たちですらこんなに楽しいので子どもたちはすごく楽しんでくれるなと思いました。私も子どもたちが楽しく英語を学べるように工夫して授業ができるように頑張っていきたいなと思いました。

?たくさんの活動例を紹介してもらったり実際にやってみせてもらったりしたことで、実際に現場で使うことができるものも多く得られたと思う。講義動画や資料は何度でも見返すことができるので、復習をしながら学びを深めたい。

?GoogleMeetでの授業では、画面の前で一緒に活動に参加しながら楽しく授業を受けることができました。一人だからこそ、大きな声で発音の練習ができた部分もありました。指導上の工夫をたくさん知ることができたので、振り返って実際に自分で授業をする際に活用できたらいいなと思います。

?1番印象的だったのは、絵本や歌の授業内での用い方とチャンツなどの奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】性です。これから身につけていきたいと思います。そして動画とGoogleMeetの2つのやり方を使っていてとても分かりやすかったです。

?講義動画だけではなく、GoogleMeetを使って具体的な活動を体験したことでその活動の楽しさを味わうことができました。指導法では、その活動を単元の中でどのように生かすか考えていきたいと思います。

対面でもオンラインでも変わらぬ大事なことは

学生に毎時間書いていただいた感想は、リアクションが皆無で辛いオンライン授業の中、私の唯一の支えであり励みとなりました。学期最後の第15回目感想から、「実際の授業場面での活用を意識しながら小学校外国語教育や英語に関する基本的知識を学ぶ」ことをねらいとする英語科概論の目標は概ね達成できたのではないかと感じています。また、対面授業の時と同じルーブリックを活用した学期末の評価も、昨年度と比較して遜色ない結果となりました。今学期の学びが、学生の皆さんの今後の学習に繋がることを期待しています。

同時双方向型と動画配信型の両方を組み合わせた今学期のオンライン授業は、準備に多くの時間を費やすことにはなりましたが、同時に、何を伝えるべきなのか、どのように伝えるべきなのか、という講義を進める上で最も基本的なことを見直す機会にもなりました。学ぶべき内容をより分かりやすく、より学習意欲が維持できるように伝えていくことは、教員にとって対面授業であってもオンライン授業であっても変わらない大事なことだと改めて感じています。

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