VOL.01 JUNE 2002 【学習サポート】 【現場から現場へ】 【科目修了試験のご案内】 【スクーリングのご案内】 【お知らせ】 |
【現場から現場へ】[INTERVIEW] 精神保健福祉士の資格と仕事(話し手)社会福祉学科 教授 将来性ある資格といわれ,学生の関心も高い精神保健福祉士(PSW)。精神保健福祉士法では,精神障害者の「社会復帰に関する相談に応じ,助言,指導,日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行う」と規定されていますが,実際の業務は意外と知られていません。 Q.まず,精神保健福祉士が接する「精神障害者」とはどのような方でしょうか。 日本では「精神障害者」の方で,医学的には退院は可能だが行き場がないために「社会的入院」を余儀なくされている人々がたくさんいます。精神保健福祉士はその方々の退院を促進して,地域でふつうに生活できるための援助を行うための資格です。 Q.精神保健福祉士の主たる職場はどんなところがありますか。 精神病院や精神科?神経科のある病院,精神科クリニックで医師?看護師と連携して働いている人が多くいます。その他,公務員試験に合格して,保健所,精神保健福祉センターで働いている人もいます。また,退院した精神障害者に生活の場を与える「生活訓練施設」(援護寮ともいいます)や「福祉ホーム」,就労の機会を提供したり,そのための訓練を行う「授産施設」や「福祉工場」,さらに精神障害者の社会生活維持?継続のためにさまざまな支援を行う「地域生活支援センター」などの「精神障害者社会復帰施設」,また家族会やNPOなどが運営している「小規模作業所」も資格がいかせる職場です。 Q.仕事内容は「社会復帰」のための「相談援助業務」ということで「社会福祉的な立場から」とうたわれていますが,具体的にはどのような業務が中心ですか。 病院で働く場合と,行政機関や社会復帰施設で働く場合とでは,業務内容にすこし違いがあります。簡単に申し上げますと病院で働く場合は,
などが主たる業務になります。また,病院のなかの「デイケア」部門では,通院してくる利用者に対して,相談援助,生活技能訓練(SST)の外に他職種の方と共にレクリエーションやスポーツなどの企画?運営を行っている場合も多いようです。 Q.資格をめざされる方にアドバイスをお願いいたします。 資格は,第一義的にはどの資格も同じと思いますが,資格をもっている人のためのものではなく,利用者のためのものです。このことを忘れないで欲しいと思います。資格をもって就職すれば安穏と仕事ができるのでは,といった考えをもっている人には向きません。新しい分野ですから,精神障害者に対する差別や偏見を解消していくなどチャレンジする精神も必要になってきます。また,すぐに成果がでる仕事ではありませんから,辛抱強く取り組むことも求められます。 社会福祉の分野でよく言われることばですが「温かい心と冷静な頭脳」(warm heart & cool head)が大切です。1年生の間は社会福祉に関する科目を幅広く学び,2年生以降で精神保健福祉に関する科目をじっくり学んでください。そして,繰り返しになりますが,精神障害をもつ人が当たり前の生活ができるようになるためにはどうすればよいか,を常に念頭においてください。 貴重なアドバイスをありがとうございました。 |