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VOL.32 DECEMBER 2005

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[心理学実験] 心理学実験Iを受講した方へ(2)

福祉心理学科 心理学実験担当教員

●心理学実験I 実験3 「ミューラー?リヤーの錯視」を受講された方へ

皆川 州正

 皆さんから寄せられた要望や感想について,コメントをしたいと思います。

  1. 「48試行すべて行いたかった」「空間の異方性が当てはまるデータを使ってほしい」
    →時間の制約から,手続きを簡素化し,テキストのデータを使うことにしましたが,ややこしさや不完全感があったと思います。今後は何とか工夫改善したいと思います。
  2. 「用語(錯視量など)がよくわからないままに,先に進んで,とまどった」
    →心理データの測定法や実験の仕方を学ぶことが目的なので,錯視に関する用語の説明はあえて最小限にして進めました。しかし,そのことでとまどったとすれば,申し訳ありません。今後は,もう少し説明を加えます。
     また,ユングでさえも,「a=b,b=cならばa=c」について,“aはaであって,なぜaとbが同じなのか”と疑問を感じてつまずき,数学は苦手だったそうです。わからなくなった時は,アシスタントに遠慮なく質問をしてください。
  3. 「心を科学的に測定できるとは思いもよらなかったので,驚いた」
    →その感動の心が大事と思います。さらに,ニュートンは晩年「私は,未知の真理の大海を前に,ただ海辺で遊び,時折滑らかな小石や美しい貝殻を見つけて楽しんでいる少年のようであった」ということを言っています。心理学で測定できる心もごく一部ということを謙虚に心にとめておきましょう。

 最後に,大事なことは,実験や観察によって本質的なものを理解することにあります。皆さんの目と耳をもって“真理”の一端をつかんでください。

●心理学実験I 実験4 「感覚の弁別」を受講された方へ

大関 信隆

 本メニューでは「感覚」というある意味非常に日常的な心理的体験を「実験」という方法を用いて描き出しました。心理学ではその対象である「こころ」とその表れである(広い意味での)行動に関する質的側面と量的側面が共に大切になります。今回の実験ではこのうち,量的側面の検討に比較的比重が置かれていましたが,このためか「データ」というものの扱いに苦慮された方や,計算に手間取られた方がいらっしゃったかもしれません。数や計算はややもすると心理学的な事柄とは遠く離れているように感じられるかもしれませんが,「こころ」という,手にとって触ることのできない対象であるからこそ,科学的に,また妥当性をもってとらえる際に必要になる部分でもあります。
 また,考察もしくは答え(という表現は適切ではないですが)の正確さをかなり意識し過ぎた方もいらっしゃったようです。もちろん妥当な結果を実験から引き出していただくことは望ましいことではあるのですが,それ以上に,「今回の情報からは何が読み取れるのか」について,「データ?情報」に即してご自身なりにあれこれと吟味していただくことが,今の段階では必要かと思います。なぜなら今皆さんは心理学的なアプローチを習得しようとしている段階にあるからです。正答を出すことにのみ意識を奪われすぎず,データ(得られた情報)から現象を捉えるトレーニングを,ぜひ今の段階で身に付けていただけると嬉しいです。

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