【現場から現場へ】
[特別支援学校免許] 特別支援学校教諭をめざす方へ
社会福祉学科(通信教育部) 廣木奈緒美
◆1 なぜ特別支援学校の教員を目指そうと思ったか
夫,2人の娘を持つ36才の母である。昨年12月まで社団法人でフルタイム勤務していた。大学時代は,高校の教員免許(公民)は取得したものの,特別支援教育についてはまったく知らなかった。
夫(無二の親友である)が特別支援学校に勤務している。彼を通じて,特別支援学校では,お子さん個々の障害に応じて,少人数で支援をしていることを知った。また,普通小中高と比較してきめ細かく,そして,四季の移り変わりや社会体験などを大切にした支援をしていることを知った。2人の娘の母として,教員がその子の一生涯を見通して支援の計画をたて,保護者や関係諸機関と連携し支援にあたることはすばらしい(!)と思い,特別支援学校の教員はとてもやりがいのある仕事だと思った。
前職では経理を担当しており,正確さと期日を守ることが第一だった。その仕事と特別支援学校の教員は180度違う。興味と意欲がわいた。
私が住む茨城県では,平成20年度採用から35歳以上?39歳にも受験資格が与えられることとなった。下の娘も今年4月に小学校に入学する。これから数年は,教員採用試験にチャレンジすることができると考えて,昨年4月に特別支援学校の教員を目指すことを決意した。
◆2 短期間での免許取得について
採用試験の合否にかかわらず,1年間で免許を取得しようと思った。
第6期に入学したので,教育実習の要件のためにも,試験勉強のためにもレポートはかなりハイペースに書く必要があった。まず1年間で免許を取得できる計画をたてた。レポートのテーマと教科書をざっと見て,書きやすいものからどんどん書くようにした。大学では心理学が専門だったので,○○の心理という科目から取り組んだ。モティベーションを自分で上げていくことは大切である。自分をのせていって書き上げていった。
しかし,教科書や参考書に書いてあることは理解できても,現場の経験がなく,実感のわかないことがほとんどで,そのことがレポートを書く上で一番の悩みだった。イメージしにくいことがあったら,現場の様子や現職教員の考え方を夫に聞いた。レポートを書くときには,教科書,参考文献を徹底的に読み込み,読んでわかったこと,夫から聞いて理解したこと,それらから感じたことをまとめるようにした。
レポートの講評で「こういう考え方はいいですね」と励まされることもあった。拙い考えでも認めてもらえることで本当にがんばれた。
◆3 教員採用試験合格について
学習を始めて3カ月ほどで教員採用試験の受験をした。フルタイムで働いていたので,学習できる時間は平日夜,土日のみである。夫に,家事育児等,全面的な協力をもらった。朝の通勤時にもカードに目を通したり,寝る前の細切れの時間にも何かしら目にしたりするようにした。平日夜(20:00?24:00),土日(9:00?21:00)は学習に集中した。
レポートを書くための学習と教員採用試験の学習は同時進行だった。一般教養の学習をする時間はとれなかったので,教職教養,専門に絞って問題集を繰り返し解いた。それぞれ問題集を1冊に絞り,最低5回は解いた。茨城県の教員採用試験は記述式解答が多かったので,レポートを書くことは大変役立った。
教員の仕事のイメージを持ちづらい私にとって,スクーリングはとても有意義なものであった。スクーリングでの学習活動が,教員採用試験の論文や面接,討論等にとても役立った。
試験で手ごたえをつかむまでは学習できなかったが,受験を決めてからそれまで,精一杯のことはしたという自信が力をくれた。結果としての合格,嬉しさがあふれた。
◆4 教育実習に行って
教員採用試験の合格が決まり,すべてのレポートが書き終わり,すべての科目修了試験に合格した1月末に教育実習を行なった。12月末日で退職したので,教育実習だけに集中して取り組むことができた。
実習校は自然環境が豊かで,アットホームな雰囲気の少人数の学校で,個別の支援を経験するのにとても良い学校だった。交流や地域活動もさかんで,2週間ほどの短い期間にもかかわらず,様々な経験をさせていただいた。また,採用が内定していたので,4月からのことを配慮してくださり,担任の先生は子どもをずいぶん任せてくださった。私にとってはじめての現場であり,どう子どもたちと接していけばよいのか迷うことばかりだった。しかし,担任の先生に「まずはやってみてください」と言っていただいたおかげで,実際に指導しながら,その場その場,考える機会をもつことができた。
研究授業の指導案作りでは,お忙しい時期だったにもかかわらず,指導教員,学年担当の先生方に親身に指導していただいた。年間の計画,指導の流れ,単元設定などこれからまだまだ勉強しなくてはいけないことだなと実感した。
特別支援学校ではTT(チーム?ティーチング)が基本である。まわりの意見を聞くことも大切だが,自分の考えをどう伝えていくかも大切である。経験をつんで,自分の信念を持って支援にあたれるようになるのが夢である。
◆5 これから特別支援学校教諭を目指す方へ
私同様,仕事をもちながら,限られた時間の中で学習し,教員を目指されている方も多いのではないかと思います。時間は限られているので,計画をたてて,無駄なく学習を進めましょう。滅入っている時間はありません。
レポートは,下書きをパソコンで書いていました。パソコンだと,細切れでも,これ!と思い付きを書き留めておくことができて,それをつなげることでレポートができました。そしてレポートの清書はすべて手書きでした。手書きだと内容が頭に入ります。また,文のつながりが変だと気づくこともあります。なにより,教員採用試験の学習になりました。レポートが思うように進まないときは,自分が教員になった姿を想像してがんばりました。
皆さんもがんばってください。
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