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【現場から現場へ】

[関連施設紹介]
地域の一員として ?「川平の家」の取り組みから?

せんだんの杜 中山地域サービス部
設楽 順一

 平成15年6月に「川平の家」が開所した。川平小学校の近く,道路向かいには駄菓子屋もあり,毎日子どもたちの声が聞こえ,にぎやかな住宅街の中にある。
 1階には6畳,8畳の部屋と12畳程のダイニングキッチン他にトイレと風呂があり,2階には6畳2部屋と8畳の部屋がある。そして何と言っても庭が広く,梅の木からみょうがまで数種類の植物が植えられており,目だけでなく味覚までも楽しませてくれているのである。
 「川平の家」は,介護保険事業の居宅介護支援事業所,通所介護事業所の他に,自主事業でナイトケア(泊り),託児,学童保育も行っており,お年寄りも子どもも,障害児?者も誰もが住み慣れた地域で暮らし続けることができるように,何らかのお手伝いができればと考えており,共生型の事業として開設されました。
 当初は,お年寄りの通所介護事業所をベースとして始めようと考えておりましたが,地域の中に入っていくと,地域の中には子育て世代の方が多くいらっしゃったり,障害をお持ちでありながらも頑張っている方が多くいらっしゃったため,どうせやるなら皆で楽しみたい,そして支え合いたいと思うようになり,「共生型」として始めることにしました。昔は,「共生型」と位置付けなくても,自然に近所付き合いという形でみんなで支え合っていたものでしたが,昨今,関係は薄れていく一方であり,施設や役所に行くのにも抵抗があることが多く,そんな時に地域の中でそういう場所になり得たらと考えておりますし,地域の橋渡し役としてもなり得たらと思っております。ただ,「川平の家」では,事業者が中心となって事を進めていくのではなく,地域の方々,住民の方々,民生委員,町内会とさまざまな地域の力を借り,一緒に地域の一員として進めて行けたらと思っております。
 「川平の家」は,通所介護事業所として運営しておりますが,利用者の方々は皆さん,「デイサービスに通っている」という意識はなく,近くにできた「お茶飲み場」として認識されており,その特徴として,普通デイサービスというと,自宅まで迎えにいって,帰りは送って行くというのが普通なのですが,ここでは,朝9時頃になると利用者の方が歩いて来られ,時にはいつもより遅くなっている方の所へ迎えに行ってくれたりもしているのです。皆さん痴呆症をお持ちの方なのですが,住み慣れた地域のため土地勘もあり迷うことなくいらっしゃることができるのだと思います。「川平の家」には,日課がなく利用者の方の話からその日の一日や昼食のメニューが決まっていきます。ひとりひとりの意見を尊重していくことで役割もでき,ひとりひとりが主役となり輝くことができるのではないでしょうか。
 また,利用者の方だけでなく,利用者の家族の方も遊びに来られます。ある利用者のだんなさんは,日中の暇な時間にいらっしゃり庭の手入れをしてくれたり,掃除をしてくれたりとボランティアをしていただいていますが,ご家族からは「健康のために」と話をいただき,ある種介護予防の場としてもなり得るのではないかと思っております。
 「川平の家」はまだ始まったばかりではありますが,地域との関係をつくっていきながら,誰もが住み慣れた地域で暮らし続けることができるように,そして常に笑顔を見れるような支援のあり方をめざしていきたいと思います。

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