【お知らせ】
ボランティアセンター
ボランティアセンターの渡辺信也です。今年の夏は猛暑でしたね。前回より始まった「学生ボランティア体験記」の第二弾です。今回は「夢」がテーマです。盲導犬訓練士を目指す学生が盲導犬ボランティアを通じて,様々な出会い,そして,街頭に立っての募金や広報活動で感じ,学んだことが書かれています。どうぞごゆっくりご覧下さい。
■総合福祉学部 社会福祉学科(通学課程) 3年
日向 麻依子(ひなたまいこ)
私は現在,財団法人日本盲導犬協会仙台訓練センターで毎週定期的にボランティア活動を行っています。「犬舎ボランティア」というボランティアで,訓練中の犬が生活をする犬舎の掃除をしたり,犬にブラシをかけたり,シャンプーをしたり,エサを作ったり,フリーラン(犬を中庭で遊ばせること)の手伝いをしたり,と様々なことを行います。とても体力のいるボランティアで終わった後はいつもフラフラになってしまいますが,どの作業も楽しんで行っています。
フラフラになってまで楽しい犬舎ボランティアを始めたきっかけは,私の夢が「盲導犬の訓練士」になることだからです。高校1年生の時に,本物の盲導犬を見て以来,視覚障害者の目となるのはもちろんのこと心の支えにまでなる盲導犬に感動し,その盲導犬を育て上げる訓練士に強い憧れをもちました。それから少しでも盲導犬に関わりたいと思い犬舎ボランティアを始めました。また,きっかけこそ自分の夢のためでしたが,今では多くの人に出会えたり,犬の動作ひとつひとつに癒されたりと体験の全てが私の中でかけがえのない財産になっています。
犬舎ボランティアを行っていて一番嬉しさを感じることは,パピーウォーカー(将来盲導犬になる,生後2ヶ月の子犬を約10ヶ月預かり愛情をもって人間との関わり方を教えるボランティア)の元から離れて訓練センターにやってきた盲導犬候補生たちが,最初は頼りない顔をしていたのに,訓練を重ねるうちに盲導犬にふさわしい顔つきになってくるのが感じられる時です。その後,実際にユーザー(盲導犬を使って歩く視覚障害者)のパートナーとなり卒業していく姿は本当に感動します。逆に悲しさを感じるのは,訓練中の犬の中で盲導犬に向いた性格ではないために,PR犬(盲導犬の活動を世間の人に知ってもらうため,デモンストレーションを行う犬)や,盲導犬候補の繁殖犬になり訓練センターから去っていってしまうことです。盲導犬は視覚障害者の命を預かる仕事のためどうしても性格に向き,不向きがでてきてしまうのです。仕方のないことですが,候補だった犬たちが犬舎からいなくなってしまうと寂しく感じてしまいます。
しかし,犬舎ボランティアを行っていると訓練センターの職員の方から,その去ってしまった犬たちの近況を聞かせてもらえるので,「頑張っているんだな,私もがんばらなくちゃ」と思うことができます。また,ちょっと落ち込んでいても,私が犬舎に入っただけで元気よく尻尾を振ってお出迎えをしてくれる姿を見ると世話をするはずの私のほうが,逆に励まされてしまって思わず「ありがとう」と言ってしまうこともあります。そんな時犬たちは「なんのこと?いいから遊んでよ!」という顔をしています。このように犬たちは私にたくさんのことを与えてくれます。
ここまで,犬との関わりばかり書きましたが,犬舎ボランティアは犬とだけ関わっているボランティアではありません。私は犬舎ボランティアを通して,訓練士の方はもちろんのこと,同じ犬舎ボランティアを行っているボランティアの皆さん,盲導犬ユーザーの方,そのご家族など多くの人に出会うことができました。会話や相談することによって得られるものがたくさんあり,その出会いひとつひとつが私を成長させてくれます。盲導犬の訓練士になりたいという私の夢は,ボランティアを通して私にたくさんのものを与えてくれました。
また,私は犬舎ボランティア以外に,盲導犬育成のための街頭募金活動や,盲導犬のイベントのスタッフボランティアという形でも盲導犬のボランティアに参加しています。これは,奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】公認サークルの「学生有志団体ちょこっとボランティア」という盲導犬に関するボランティア活動を中心にしているサークルがあり,私がそのサークルの団長を務めているからです。
犬舎ボランティアは,訓練センターの「内側」をよく知ることができますが,街頭募金等の「外側」での活動は,「内側」だけではわからない様々なことがわかります。平成16年3月末現在,日本で活躍中の盲導犬の実働数は948頭です。そして,必要とされている数は7,800頭です。現在の数は必要とされている数の10%余りしか達していないのです。このような現状は,世間の人たちには,ほとんど知られていません。街頭募金を行っているとそのことがよくわかります。
また,平成14年10月1日から,『身体障害者補助犬法』(身体障害者が連れている,盲導犬,聴導犬,介助犬といった身体を補助する犬を民間の施設が受け入れを拒否することはできないという法律)が施行されたにも関わらず,入店を拒否されたというユーザーは後を絶ちません。このような状況を知ると,ドラマや映画などにより「盲導犬」という言葉は知られてもその中身の方がついてきていないのだなと実感します。
「盲導犬」がどういうものなのか,今活躍している数はどれくらいなのかといった世間に対するアピールは,街頭募金やイベント時といった「外側」でのボランティア活動で行えるものだと思います。少しでも多くの人に「盲導犬」を知ってもらい,ユーザーが気兼ねなく街を歩くことができるように今後も活動を続けていくつもりです。
以上のようなボランティア活動は全て,私の「訓練士になりたい」という夢が原動力でした。盲導犬のことだけを学ぶだけでなく,そこに関わる人との出会いや,それによる自分の成長,実際に活動してみなければ知ることができなかったことなど得たものがたくさんあります。初めは,自分の夢に少しでも近づきたいという思いで始めたことでしたが,今私の中で確実に財産となっているこの活動は今後も続けていきたいと思っています。そして,いつか今の経験を生かすことのできる訓練士になりたいと強く思っています。
私の所属するサークル「学生有志団体 ちょこっとボランティア」の活動に興味?関心もたれた方は是非ホームページに奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】してください。
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