母が看護師だったこともあり、以前から医療系の職業に興味がありました。一番のきっかけは、東日本大震災の３年後に放送されたNHKスペシャル「あの日 生まれた命」（2014年3月11日放送）でした。震災の日に生まれた子どもたちが３歳になった姿や、多くの命が失われた日に出産した葛藤を抱えているお母さんたちやご家族にフォーカスしたドキュメンタリーです。

被災地でたくましく育つ子どもたちの姿に人間の生命力や強さを感じました。また、その大変な状況の中でも温かい言葉をかけながら、赤ちゃんとお母さんの命を守っている助産師の姿に惹かれて、私も母子を支えることができる助産師になりたいと思いました。

BFH（Baby Friendly Hospital）*１の認定施設であることにとても惹かれました。当院は母乳育児に力を入れている病院ですが、決して母乳育児のみを勧めているわけではありません。どんな育児をしていきたいかは対象者によって考え方がさまざまです。実習での経験ですが、子育てについての希望や思いを聞き、その人に合った支援を考えているスタッフの姿に憧れて、この病院で働きたいと思いました。

年間の分娩件数は県内でも多い施設であり、さまざまな産婦さんに関わる経験から自分自身も成長できると思いました。私はこれまで74件のお産に携わりました。2024年の大晦日にちょうど夜勤だったのですが、立て続けにお2人がお産になりにぎやかでしたよ(笑)。

週数が同じ産婦さんでも、同じお産は１件もありません。どんなお産や育児をしたいか、自分から話してくださる産婦さんもいれば、なかなか言葉にできない方もいます。産婦さんの気持ちに寄り添い、その思いを上手く引き出せるような会話などを意識して、産婦さんの気持ちや赤ちゃんに合った支援ができることを心がけていきたいと考えています。

*1：BFH（Baby Friendly Hospital）???ユニセフ／WHOが乳幼児の健康維持を図ることを目的として「母乳育児を成功させるための10か条」を採用し実践する施設を「赤ちゃんにやさしい病院」として認定しています。
※参照：東北公済病院HP 　

とても印象に残っていることがあります。本来は37週を越えてからの出産が望ましいのですが、34週で破水して緊急搬送された産婦さんのお産に携わったことがありました。赤ちゃんも未熟な状態で呼吸が不安定で、ほかの病院に新生児が先に搬送されることになったのですが、お母さんがとても前向きな方で、赤ちゃんを「大丈夫、頑張れ！」と送り出し、ご自身は一生懸命搾乳をされていました。もちろん不安も大きかったと思いますが、「頑張っている赤ちゃんのために、今自分ができることをやろう」という気持ちが伝わってきて、お母さんって素敵だなと思いましたし、赤ちゃんの生きようという力にも強さを感じました。