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【学習サポート】

[情報処理 I ] ささやかな感動とエール

石野 莞司
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 「教える」仕事に就いて,かれこれ17年が経ち,これまで専門学校?短期大学そして大学と,『高等教育機関』をひととおり経験してきました。あとは大学院を残すばかり。その間,昼間部はもちろんですが,夜間部や市民開放講座などといった教育機会にも携わってきましたが,講義あるいは実習を受講する「学生」の印象は微妙に違っていたように思います。
 夜間部の学生は,「卒業」資格を取るために働きながら授業に来ていたせいか,aggressiveであるというより,同じ環境にあるもの同士の連帯意識の方が鮮明であり,単位を取るのが目的化していました。
 一方,市民開放講座は,(これは毎年のように経験してきましたが)「知識を広げる」といった参加意識が強く感じられ,どのようなテーマ,内容であれ,「食いつき」が頗る良い反面,系統性のある詳細な授業より話題性のあるホットなテーマを好む傾向があります。
 これらの経験から,『通信教育』のスクーリングに参加してくる学生がどのような感じなのか,個人的に楽しみにしていました。もっとも,疎かな授業は展開できませんので,緊張もしてましたが……。熱心さという点では,市民開放講座や夜間部の学生と共通しているように感じられましたが,微妙に温度差があるように見受けられ,その根拠がなんなのかはじめのうちはよくわかりませんでした。終盤,実習課題に取り組んでいただいている間,たまたま一人一人と話す機会があり,それを通じて合点することができました。
 一人一人の目標が実に明快で,しかも現実的なのです。今はこういう仕事をしているが,これこれの資格をとってこう活かしたいとか,これまではこう生きてきたが今後はこんな生き方がしたい,など。「卒業したい」とか「知識を広げたい」などといった漠然とした参加意識ではなく,具体的な方向性をもって参加していることが強く印象づけられました。これは,今までの経験では余り感じ取ることができなかったことで,実に新鮮な驚き,というか感動でした。(人知れず!!)
 そんな感動の後,反省しきり。80分12回の実習で果たして,それぞれの人に満足感あるいは充実感をもたらす「いい授業」ができたか? 大切な部分を落としてはいなかったか? 数え上げると冷や汗が吹き出てきます。もっとも,私の場合,「続編」的な実習がまだ控えているので,挽回を期すことはできると思うのですが……。
 通信教育に携わることは,自分にとって初めての経験ですが,今までとは違った感触が心地よく残りました。改めて,人間社会の奥行きを感じつつ,たとえ僅かではあっても,自分が「伝える」ことがまだありそうな気がしてきました。最後に,『情報処理 I 』のスクーリングを受講された方々には,引き続き励んでいただき,目標が目標に終わることなく実現されることを願ってやみません。

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