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【現場から現場へ】

[関連施設紹介] ケア付き住宅「リベラ荘」にようこそ(その1)

せんだんの杜 杜長
中里 仁
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●「リベラ荘」 それは,痴呆症であっても車イスが必要であっても「人」として尊厳を持ち続け,自由に暮らせる高齢者の「ケア付き住宅」

 平成8年4月,東北福祉会せんだんの杜の中心的事業の一つとして,リベラ荘が国見ケ丘にオープンした。老人福祉法という制度上の位置づけからすれば「特別養護老人ホーム」(ちなみに,介護保険法でいうと指定介護老人福祉施設……ややこしい)ですし,介護保険導入以前は「措置施設」として利用者を保護?収容する「施設」として一般的にとらえられていましたが,せんだんの杜では開設当初から,「ここはケア付き住宅です!!」と謳い続けてきました。この考え方は「福祉は特別な弱者が利用する特別なものではなく,地域で暮らす子どもから高齢者に至る人々(痴呆症であっても,車イスであっても,計算力や暗記力が少々弱くても……)が,憲法で保障された「人」として誰もが幸福に生きる権利,「基本的人権」が尊重されるために必要な社会サービスの一つとして福祉を位置づける,いわばノーマライゼーションの理念をその基本としてサービスを提供する」といった考えによるものでした。
 しかし,当時この考え方はなかなか行政にも他の法人にも理解されませんでしたが,介護保険(措置から,利用者主体の契約)導入後,徐々にこの考え方が全国に広まりつつあります(*「リベラ」とはエスペラント語で「自由」を意味します)。

●何故,施設なのに「制服」がないのか

 東北福祉会の各サービス事業所(あえて施設とは言わない)では,オープン当初から「制服」ではなく「私服」でサービスを提供してきました。この,制服が良いか私服が良いかについての議論は今だ賛否両論的な部分を残してはいますが,全国的流れとしては,「ホームは,病院でも収容施設でもなく,ケアが必要な高齢者の方々が利用料を支払い契約で入居されるケア付き住宅である」と言う考え方が徐々に浸透つつある現在,これまでのように制服を着る必要性が薄れてきていると言えます。現実的には,まだまだ制服の施設は多いのですが,グループホームなどを見れば,私服のところが増えていますし,考え方は確実に変わってきています(だいたい,同じ法人が運営する事業所で,グループホームは私服で特養やユニットが制服を着ると言ったバラバラの考え方があること自体変だと思うのです)。この考えも,オープン当初なかなか理解されませんでしたし,確か仙台市内の事業所で私服でサービスを提供したのは「リベラ荘」が初めてだったと思います。

●トップダウンの組織からボトムアップの組織へ

 これまでの老人ホームでは,利用者に一番近く利用者が必要とするニーズを一番知っているはずの一般職員は,ほとんど何も権限が与えられず極端な言い方をすれば,理事長?施設長?事務長?生活指導員などの限られた人々がすべてを決定してきました。もちろん,組織ですのでトップダウンは必要ですし,その責任は管理者が負うものには変わりありませんが,もっとわかりやすく言えば「理事長や施設長が変わるたびに,サービスの内容や質が変わる」と言ったことが現実に行われてきました。
 そこで,東北福祉会は「ある程度の権限を一般職員にも移譲し,同時に責任も持たせる」ボトムアップ方式の組織を取り入れて出発しました。
 この考え方も,これまでの「一法人一施設」の時代には,なじみにくいものでしたが「一法人,複数事業」の現在では,一つのモデルとして他事業所にも取り入れられるようになってきました。

●地域福祉部の設置

 この「地域福祉部」を組織内に設けるという考えも当時はなかなか,なじみのうすいものでした。なぜなら,措置時代の施設では「何もしなくても利用者の方を行政が各施設に振り分け(措置)してくれた」からです。
 しかし,現在は地域福祉部という名称は別としても,法人,事業所は常に地域のニーズにアンテナをはり,ニーズを掘りおこしサービスを創っていく時代に入ってきています。「施設中心から地域の生活支援サービスセンター」としての役割と期待が,ますます強くなってきているのです。

 紙面の都合もありますので,今回はここまで……。
 次回は,「ボランティアセンター」の地域での役割とその活動内容等についてを(その2)としてご紹介したいと考えております。

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