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VOL.15 DECEMBER 2003

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[関連施設紹介] 在宅介護の推進に向けて

せんだんの杜ものう 杜長
柿沼 利弘

* 前回まで,東北福祉会の理念や「せんだんの杜」の実践をお伝えしました。今回から桃生町で運営している「せんだんの杜ものう」の実践を紹介いたします。
 「せんだんの杜ものう」はあまり目に触れる機会が少ないので,この機会に事業内容を紹介いたします。

●1 せんだんの杜ものう概要

 「せんだんの杜」が仙台市という大都市に位置するのに対し,「せんだんの杜ものう」は仙台市から約65キロメートル北東部に位置する桃生町にあります。桃生町は,農業を主産業とする人口約8,700人の小さな町です。高齢者人口は全人口に占める割合が26%を超え,要介護高齢者の出現率は約14%です。
 「せんだんの杜ものう」は,桃生町が策定した「福祉の森構想」(高齢者等福祉施設整備計画)に基づいて設置されました。
 「せんだんの杜ものう」は,平成11年4月開所しました。ここでは,居宅介護支援事業,訪問介護事業,通所介護事業,短期入所生活介護事業の居宅介護サービスと指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム「ファミリオ」),ケアハウス「フェリコ」の施設介護サービス事業を実施しています。
 運営の方針はせんだんの杜と同じスタンスで「人」を中心にした運営を行っています。
 施設におけるユニットケアといわれる新しいケアの取り組みでは,「人」を中心に,この事業所を利用する高齢者がご家族や地域社会との継続する関係性を大切にする職員の意識づくりを行い,建物などをある程度ユニット化した構造にして,その「人」らしい生活を営むために必要な《支援》に努めています。しかし,ユニットケアはゴール(目標)ではなく,通過点として捉えています。
 もし,介護が必要となったら,できるだけ自分の家で暮らしたいと多くの人は強く願うでしょう。この願いは現在の在宅?施設サービス利用者も抱えていることではないでしょうか。自宅のすぐ近くに必要なサービスが利用できる事業所があって,自宅に「来てくれる」,「通ってもいい」,「泊ってもいい」,やがて「住んでもいい」というところが求められてきました。利用者にも家族にも目の届くところにサービスがあって,サービス事業者は今後はさらに利用者?家族,地域社会に安心?安全を提供し,満足が得られるよう共につくりあげていく役割と責任を果たしていかなければなりません。

せんだんの杜ものう構成図
せんだんの杜ものう構成図

●2 施設で在宅介護の推進!?

 このような介護サービス体系を地域社会に整備していくことが「せんだんの杜ものう」の目標としていることで,町行政も「高齢者保健福祉計画」に位置付けています。
 「せんだんの杜ものう」はユニットケアに取り組みながら,自宅や地域社会での生活に復帰することを目標に「逆デイ」サービス活動にも取り組み始め,利用者が自宅で一日を過ごしています。
 「せんだんの杜いしのまき」は石巻市内に2002年6月開所しました。自宅の近くにある「通う介護」を利用でき,自分の能力を後退させないケアと小規模で落ち着いた空間が良いと好評です。
 「せんだんの杜なかつやま」は2003年4月,桃生町内に開設した地域密着?小規模多機能型施設です。桃生町高齢者保健福祉計画では「地域分散型サテライト」と位置付けられています。
 事業所では,居宅介護支援と通所介護,訪問介護の詰め所,レスパイトの泊まり,グループホームという機能を備えています。さらに,地域交流スペースでは,学童保育,近隣住民の研修の場としての利用など多様な運営を行っています。
 次回は,これらの取り組みを具体的に紹介し,地域に暮らしながら必要な支援を受けることができる社会の創造を目指す取り組みを紹介します。

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