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【学習サポート】

[教育社会学] スクーリングを終えて

講師
星山 幸男

 今回の教育社会学のスクーリング参加者は3名であったが,皆熱心で充実した時間を持つことができた。受講者はすべて社会人なので,テキストにそった解説はできるだけ行わず,テキストでは充分に触れていない視点や課題,わかりづらい点などを補うことに主眼を置いた。そして,一方的に講義するのではなく,いくつかのテーマについてお互いの意見を交換する場を設けた。参加者の年代?居住地域?職業がまちまちだったので,それぞれの立場から意見を出してもらい,興味深い討議となった。限られた時間の中での意見交換ではあったが,講義内容を膨らませることができたのは,皆さんが普段から問題意識を持ち,率直な疑問や意見を示してくれたおかげである。
 しつけの問題,遊びの問題,逸脱行動の問題,学校教育が直面する問題,いずれも今厳しい見解が多く示されている。現に生きている子どもたちに降りかかっていることであり,社会の将来にかかわることである。しかし,「今の親は……」あるいは「これではダメだ,ダメだ」と言ってばかりいてもだめである。問題の背景や課題を的確に把握したうえで,今後どのように考え,改善していくかの手がかりを示すことこそが求められる。現代社会の構造的特質を踏まえて考察していくマクロな分析から,家族や遊び仲間,学級内の諸関係などミクロな分析まで,現実を解き明かしていく枠組みと方法そして展望が用意されなければならないといえる。
 教育社会学は現実から学び,社会に研究成果を問うていく実証科学である。今回の授業内容が,どれだけ皆さんが当面する教育問題を考えるヒント,展望を見出す手がかりになっただろうか。社会科学は,学問のための学問,理論のための理論であってはならない。今回のスクーリングを通じて,理論と現実を往復しながら思考していくことの大切さ,その中で見出される実践課題に地道に取り組んでいくことの大切さ,を確認していただければ幸いである。

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