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【BOOK GUIDE】 |
【BOOK GUIDE】日本外交のアイデンティティ 南窓社講師 本書は国際関係学シリーズの第8巻。開国以来150年,他国との外交関係を通じて私たち日本人の自己規定,自分たちは何ものであるかと認識しているか,それがどう変化してきたか,しなかったのか,というアイデンティティの問題を分析したものである。著者はそれぞれの専門分野の視点から様々な事象について検討を加えている。以下に各章のタイトルを紹介する。
私が担当した第8章では,戦後安全保障政策に対する日本人の認識について論じている。日本人の安全保障に対する考え方の変遷は二つのアイデンティティの対立から生み出されてきたものであった。その両者の「根底には,日本の安全を確保し,私たちの生活を守らなくてはならないという明らかな共通認識が存在する。その共通認識から生ずる問題,すなわち,この私たちの,日本の安全を確保するためにわれわれはいったい何をどうすべきか,という問題が二つのアイデンティティの根本的な相違となっているのである(p.242)」。ひとつは軍事力やそれを支える経済力といった物質的な要素(たとえば日米安保体制)を重視する「現実主義アイデンティティ」であり,もうひとつが社会的な規範や価値という観念的な要素(たとえば平和憲法)を重視する「平和主義アイデンティティ」であった。 ■長谷川雄一編『日本外交のアイデンティティ』(国際関係学叢書8) 南窓社 2004年1月発行 定価3600円+税 |