【学生INTERVIEW】
体験学習を終えて
●社会福祉学科3年のS.U.さんに昨年の10月に行った「体験学習」についてお話しをうかがいました。
通 信 |
体験学習はどのような施設でされました? |
S.U.さん |
自宅から比較的近い所にある知的障害者授産施設で行いました。 |
通 信 |
何故そこを選んだのですか? |
S.U.さん |
『With』12号に紹介されていたのと,時々そこで鉢植えの花を買っていたこともあり,身近に感じたからです。ボランティアとして知的障害者の救護施設で活動したこともありましたが,知的障害について一応は調べたものの不安はありました。 |
通 信 |
受け入れについてお願いするときはどうでしたか? |
S.U.さん |
自分で施設の番号を調べて連絡しました。担当の職員の方にはとても親切に対応していただいたおかげで,最初の不安はなくなっていました。施設に通った3日間は,最初に対応していただいた職員の方はお休みのためお会いできなかったのですが,私の受け入れについては施設全体に周知していただいており,気持ちよく活動することができました。 |
通 信 |
施設では具体的にどのようなことを行いましたか? |
S.U.さん |
入所と通所の方が施設を利用されています。クリーニング,ハム?ソーセージ作り,喫茶店,鉢植えの栽培を行っています。私は朝8時半から夕方4時半まで,利用者の方と一緒にクリーニングと鉢植えの栽培作業をしました。3日間のうち1日は土曜日にあたったため,入所の方たちと施設内清掃を行いました。 |
通 信 |
ボランティア活動の経験があったとのことですが,何か困ったことなどありませんでしたか? |
S.U.さん |
はい。全くありませんでした。施設の方針かもしれませんが,職員の方たちは作業が始まると,利用者の方たちにあれこれ手を出さず,自主性を尊重しながら離れてそれぞれの仕事しているように見受けられました。職員の方が,私と利用者の方たちのとの間に入らず,離れて見守ってくれたことで,私なりに自然と利用者の方々に受け入れていただくことができたと思います。私のことを避ける利用者の方もいらっしゃいましたが,そういう時は私からどんどん積極的に話し掛けるようにしました。 |
通 信 |
特に印象深かったことは何ですか? |
S.U.さん |
ちょっとした問題が発生した際も,ミーティングに同席させていただき,現場を見せてくださろうとしている施設側のお気持ちが嬉しかったですし,実際勉強になりました。体験学習までの知的障害者授産施設のイメージは,もっとのんびりとしたものでしたが,キビキビと規則正しく作業されている様子には驚きました。一方,利用者の方は,金銭管理も自分でされ,お酒を飲むのも認められていますし,生活エリアは分かれていますが男女間の交流も自然に行われ,とても自由な良い雰囲気だと思いました。仕事が終わると施設の中心にある温泉で疲れをとることが楽しみになっているようです。将来自立するための生活の場も用意され,入所の方は自立を目指し,自らを管理して生活していることを生き生きと話して下さいました。しかし,意欲はあっても十分な受け皿がないことなど,多くの課題についても考えさせられました。
今,福祉はどんどん変化し,現場では様々な資格やより専門的な知識が求められています。今回の体験学習を担当していただいた施設職員の方も,「自分も福祉大通信教育部の入学説明会に参加したかったが,都合がつかず2回も機会をのがした」と話されていました。1月に仙台に行ったおり募集要項をもらって送らせていただきました。 |
通 信 |
ありがとうございました。これからも頑張って下さい。 |
S.U.さん |
はい。頑張ります。 |
◆インタビューを終えて◆
今回お話しをうかがったS?Uさんからは,ハツラツとしたエネルギッシュな印象を受けました。「案ずるより生むが易し」であれこれ思い悩むより,真摯な態度で前向きに飛び込んでみれば自ずと道は開けるものです。守秘義務により,詳しい内容は聞けませんでしたが,体験学習では多くの経験をされたことでしょう。
また今回,受け入れ側の施設の暖かい配慮も,S?Uさんのお話しを通して伝わってきました。体験学習の目的の一つに,実習生として受け入れてもらうことで,受け入れ側にどれだけの配慮が行なわれ,また多くの人々と関わることになるのかについて,これから実習する方に自覚してもらうことがあります。施設は利用される方々にとって日常生活の場であり,実習生には生活の場に立ち入ることを許していただいているという謙虚な気持ちが必要です。もしそうした気持ちを持てずに受け入れを当然のこととして捉えたとしたら,S.U.さんのように施設との良い関係性は築けないでしょう。
利用者の方々にとって実生活の場である以上,「今回は人選を間違えました」では済されない本番の舞台なのです。そうならないための体験学習ということになります。実習では,実習生自身,施設での仕事が自分に合うかどうかを試される,施設からも適性が計られることになります。
適度な緊張感を持ちつつ,謙虚に明るく楽しく頑張りましょう。
(Y.O)