【現場から現場へ】
[指導者MESSAGE]
自分を知り,感謝すること 求めるのではなく,自分に課すこと
医療法人雄心会 函館新都市病院 ソーシャルワーカー
本学精神保健福祉援助実習巡回指導教員 石田 雄光
私は本学のOBで,現在は精神保健福祉援助実習の巡回指導を担当しております。
さて,学生の皆さんは,ソーシャルワーカーとはどのような仕事だと考えているでしょうか? 私の子どもが幼い頃,「お父さんの仕事はどんなことをしているの?」と聞かれ,私は「病気や怪我で病院へ来た人やその家族が困ったなぁと思うことを,できるだけ少なくできるよう応援すること」と説明しました。
学生時代は部活動に没頭し,安易な考えで今の職についた私にとって,はじめは,本学卒業と言うのが恥ずかしいほど,分からないことばかりでした。こんな私の転機は,「何から勉強すればよいのか分からない」「何が理解できていないのかも分からない」を言い訳に,自らを磨こうとしない自分自身に気付いたことでした。この気付きがあったからこそ,現在まで続けて来られたのだと思います。
今回は,このような私が実習指導や実習生を受け入れる中で感じていることを記します。「実習を何のため,どのように取り組むのか」,ということを考える一契機にしていただければと思います。
実習生の多くは,実りある実習を行っていると思います。しかしながら,本学の学生に限らず,実習生に対する評価は年々厳しいものになっていると感じます。中には,挨拶ができない,課題を行わないといったように,実習を行う段階にない方,また単位の取得だけが目的となっている方などもおり,実習を中断せざるをえない事態も増えています。更には実習中断にまでは至らないものの,実習を行うには時期尚早と思われる事例も少なくありません。
そうした場合,責任に対する自覚の弱さや社会性の乏しさが指摘されていますが,学生の皆さんと話すと,日常の学習や生活での苦労に加え,実習という厳しい状況の中で余裕がなくなっている様子がうかがえます。しかし,余裕のなさに起因するにせよ,学生個人の「都合」による自己中心的な姿勢は,あまりにも未熟過ぎるものであると思います。皆さんの実習は,多くの方にご負担をおかけし,たくさんのご協力をいただいて行われていることを,常に意識できているでしょうか? 実習だけに限りませんが,感謝の気持ちが希薄であるように思われます。
また,実習にあたって,学生の皆さんが興味を持っていることと,実習指導者が必要であると考える内容が一致しないこともしばしばあります。時間を費やし苦労して作成した実習計画と,実際に行われる実習の内容が異なることは,珍しいことではありません。そうした現実に困惑し,焦ることもあるでしょうが,主張ばかりが強く,意に添わない事柄に対して後ろ向きの態度をとることは,大人気ないと思われても仕方ありません。
学生の皆さんの学習への取り組みは熱心であり,知識も豊かであると感じます。だからこそ,自らの姿勢にも厳しくあって欲しいと思います。実習においては,学んだことが現場でいかに実践されているのかを知ることも大切ですが,自分自身への気付きを得ることも大きな成果です。指導者に教えや機会を求めるばかりではなく,自分自身としっかり向き合うことが,学びにおいて奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】であることを知ってください。
厳しいことばかり申し上げてしまいましたが,皆さんの実習に取り組む姿勢が本学の看板となり,後輩達へ受け継がれていくのです。そして何より,実習が皆さんにとっていかに大切な機会であるかを考えていただきたいと思います。そしてもっと,実習指導者や大学側とのコミュニケーションを増やしましょう。更にはその大切さも知りましょう。
これから実習を行われる方は,多くの不安を抱えていることでしょう。巡回指導教員は,事前の面談なども含め,少しでも皆さんの支えとなることが役割の一つと考えます。不安を抱えこまず,担当の指導教員へ気軽に話してください。
数年後,かつての自分を振り返り,「今の自分であれば,もっと違ったようにできた」と,自らの成長を感じられたならば,対象者への思いやりと多くの方への感謝がそこにはあるはずです。職種や立場は異なっても,これから皆さんと共に「良い仕事」ができることを,私たちOBは待っています。
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