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VOL.20 JUNE 2004

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NHK社会福祉セミナー 2004 4?6月号

 NHKラジオ講座のテキストですが,大変わかりやすくまとめられており,番組を聞かなくてもレポート学習の参考にできるので,紹介します。定価も安く,社会福祉のことをあまり知らない方にはお奨めです。
 4?6月号のp.22?25では大橋謙策氏が,社会福祉についてどう考えていけばよいか,を4つの視点から述べています。たとえば,どんな人でも「“他者の援助”がなければ生きていかれないのが実際」だけど,これまでは社会福祉が大きな問題になってこなかったのはなぜか,についての解説は,「高齢者福祉論」2単位めなどをまとめるヒントになるでしょう。また,社会福祉を学ぶ意味について,「従来の生活の中で無意識的につちかわれてきた人間観や社会観を問い直し,……自分の住んでいる地域の問題と,世界の問題とを結びつけて考えられる力を育てること」と幅広い視野からまとめておられます。時々,福祉って何のためにあるのだろうと振り返るのもよいかもしれません。
 p.35?39の「社会福祉にかかる費用」という視点は,これからの社会福祉?社会保障のあり方を考えていくうえで,なくてはならないものだと思います。年金制度改革,みなさんが考えた方がよい法案ができたでしょうか(!?)。
 また,「援助」から「支援」への転換を訴える吉川武彦氏の見解(p.49?52)や,『ダウン症の子をもって』の著作で知られる正村公宏氏の論(p.57?60)も読みごたえがあります。正村氏の「ボランティアであっても,『助っ人』にすぎないと考えないでほしい」とか「福祉の事業にかかわるすべての人間に求められているのは何よりも研究心だと思う」という訴えには,ハッとさせられました。

 その他,レポート課題と関連しているところをあげてみましょう。
 p.26?30「社会福祉のあゆみ」→社会福祉原論1単位め 社会保障論2単位め
 p.41?45「国際生活機能分類(ICF)」→障害者福祉論1?2単位め
 p.76?79「子ども虐待防止」→児童福祉論1単位め

 さらに,「精神保健福祉」の概略が4ページでわかるp.53?56の記述や,各所に散見される2000年の「社会福祉法」の成立?「社会福祉基礎構造改革」の考え方は,今後の学習の参考になるでしょう。冒頭には「高齢者グループホーム」の現状と課題が掲載されています。「グループホーム」の質の格差をどうなくしていくのか,外部評価があれば大丈夫なのか,などは考えがいのある課題だと感じました。また,いまちょっと話題になっている「夜回り先生」水谷修氏のインタビュー記事もありました。

 年4回刊で,この『With』が出る6月20日前後には7?9月号が出ているかもしれませんが,バックナンバー取り寄せで4?6月号も入手できます。7?9月号にも参考になる情報はたくさんあると思います。番組は,ラジオ第2放送で日曜日夕方6時35分?7時までやっています。

■『NHK社会福祉セミナー』2004年4?6月号 NHK出版 定価714円(税込)

(Pon)

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