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レポート学習

I 教科書(テキスト)を読む

 通信教育での学習の中心は,教科書(テキスト)を読み,学んだ内容をレポートにまとめることです。その際,他の本や新聞,インターネットなどで関連することを調べたり,自分で考えたりすることも必要になります。
 この章では,財団法人私立大学通信教育協会編『自立学習の手引き』にもとづいて,教科書の読み方,レポートの書き方を中心に解説します。

1 教科書の読み方

全体をつかむ

 まず,全体をつかむために,本の最初から最後まで,ざっと目を通してみましょう。目次をながめ,キーワードをつかむことも有効です。そのなかで興味がもてる部分があれば,すこし力を入れて読んでみましょう。学習は興味のもてるところからスタートするのが効果的です。
 また,この段階で『レポート課題集』にも目を通し,与えられた課題が何なのかを理解しておきましょう。

くわしくは,『自立学習の手引き』p.34?38「試し読み―ステップI」を参考にしてください。

目的意識をもって読む

 次に,レポート課題やアドバイスをもとに,レポートを書くつもりになって,教科書を丹念に読んでみましょう。さらに,レポート課題への解答だけでなく,自分なりに疑問をもって,それに対する答えを見つけるつもりで読んでいけば,その課題への理解はずっと深まります。
 その際,自分が大事だと思ったこと,理解したこと,おもしろいと思ったこと,レポートを書く際にヒントになりそうなことは,教科書に線を引いたり,書き込みをしたり,ノートに書き移したりしておきましょう。カードを作成するのもよいでしょう(「アドバイス レポートの書き方」参照)。
 『自立学習の手引き』には,「難しいところは後回しにする」「キーワードを探す」「キーセンテンスを探す」「余白に書き込む」「自問自答する」など,本を読むコツが書かれています。
 教科書は漫然と読んでいてはなかなか頭に入りません。手を動かしながら,内容は自分のいままでの知識や経験と結びつけて理解するように努力してみましょう。また,レポートを書くつもりで,あるいは誰かと学んだことを語り合うつもりで読んでいくのもひとつの手です。自分に合った本の読み方を見つけていきましょう。

くわしくは,『自立学習の手引き』p.38?52(「分析読み―ステップII」),p.52?57(「総合読み―ステップIII」)を参考にしてください。

自分で調べる

 教科書を読んでわからない言葉があれば,国語辞典や専門の辞典?事典,その他参考文献などで調べてみましょう(「9章 資料?情報をさがす」参照)。インターネットで調べるのもよいかもしれません。わからないことを自分で調べる方法を身につけ,それを習慣にすることは,これからの学習において,とても大切なことです。

くわしくは,『自立学習の手引き』p.17?33(「何を『読む』か」)p.37?38(「参考書で補う」)に目を通してください。必要な情報の探し方については,「9章 資料?情報をさがす」も参考にしてください。

わからないところはとばす

 教科書には,その学問分野の幅広い内容が凝縮して記述されています。すべての内容を理解するのは大変ですから,どうしてもわからないところはとばして,前に進みましょう。学習が進んだ後に読み直してみると以前わからなかったことが簡単に理解できる,というのはよくあることです。

教科書以外の本を読む

 限られた学習時間のなかでは,指定された教科書を読むだけでも時間がかかると思います。しかし,教科書以外の入門書(あるいは専門書)を読んでみると,要点やキーワードが何かがより明確になり,教科書を読んだだけではわからなかった内容が理解できることも多くあります。
 同じことに対する別の説明の仕方,別のものの見方にふれることは,内容の理解を深め,視点を広げるのに非常に役立ちます。その科目に力を入れてみたい場合には,教科書以外の本を読むことをお勧めします。ただし,時間をさきすぎると,いつまでたってもレポートをまとめることができなくなりますので,ご注意ください。

新しい知識を柔軟に受け入れる

 先述のように,教科書は,自分のこれまでもっている知識や経験と結びつけて理解するのが効果的です。その際,自分の知識や経験を絶対視するのではなく,著者が述べようとしている内容を正確に理解する努力も必要です。「学ぶ」には「真似ぶ」という側面もありますから,いったんは教科書に書かれたことを素直に理解してみるようにしましょう。新しい知識を柔軟に受け入れたうえで,自分なりの理解や視点を形づくっていき,レポートに表現してください。

2 読書法?学習法に関する参考図書

A. W. コーンハウザー著 『大学で勉強する方法』 玉川大学出版部,1995年
田中共子編『よくわかる学びの技法〔第2版〕』 ミネルヴァ書房,2009年
梅棹忠夫著 『知的生産の技術』 岩波新書,1969年
立花 隆著 『「知」のソフトウェア』 講談社現代新書,1984年
加藤周一著 『読書術』 岩波現代文庫,1993年
和田秀樹著 『40歳から何をどう勉強するか』 講談社,2001年
野口悠紀雄著 『「超」勉強法』 講談社,1995年
『勉強のやり方がわかる。』(AERA Mook)朝日新聞社,2004年

 たとえば,上記にあげた『大学で勉強する方法』では,「7 記憶力を高めるにはどうすべきか」で,「記憶すべき概念の意味を理解しなさい」「記憶すべき材料を繰り返し復習しなさい」「勉強の途中でしばしば立ち止まり,いま学んでいることを再生しなさい」「自分の記憶力に自信をもちなさい」などの方法が紹介されています。
 自分で考えて意味を理解すること,興味?関心を持つこと,そして繰り返すことが,記憶するための基本のようです。科目修了試験の前に試してみてください。