はいどうぞ、みなさん合掌お直りください。 はじめまして。私が学長を務めております大谷と申します。みなさん今日なぜこのような儀式を行っているか、説明があったのでお分かりいただけたと思いますけども、今日はお釈迦様の誕生日ということでこのような儀式をしております。私が先ほど述べた「法語」というのがありますけど、これはお釈迦様を讃えるものです。みなさんがご存知なのはおそらく、お釈迦様に甘茶をかけるという儀式、おそらく子供の頃には行っていたんじゃないかなというふうに思います。今はだんだん廃れてきているんですけれども、本学においてはかならずこういう儀式を行っております。私が唱えた法語というのは、「清徹性空の水、円明浄智の身。箇中体を洗わず、直下についに塵なし」というのですけれども、これは道元禅師がもっとも尊敬していた宏智という方の浴仏上堂、要するにお釈迦様を灌仏するときに唱えた法語を今日はそのまま使わせてもらいました。これどういう意味かと申しますと、「あくまでも清く無限の底にまで透徹する法性の水をもって、お釈迦様の汚れのない身に、それは本来洗わずとももとより清らかで塵もとどめないまったくの無垢であるけれども、それでもなお灌仏する」という意味を込めた法語です。これを借用させていただきました。で、みなさんはすでに入学してから一ヶ月過ぎました。大学という場にだいぶ慣れてきたのではないかなと思いますけど、みなさんはこの大学に入られて、本学の先輩やあるいは教職員と接する機会が多かったのではないかと思いますが、いかがですか？先輩や教職員は本当の真心をもって接してくれていると思います。本学にはそういうよい雰囲気があって、きちんとあいさつもしてくれます。では本学のこのような独特の雰囲気というのはどこからきているのか。これを私はすこしお話をしておこうと思います。ここでみなさんにお伝えしておきたいのは、本学の建学の精神、さらにこれにもとづく教育の理念、そういうものがどういうものであるかということです。特に、私立大学はどこでもそうですけど、その設立の目的と教育の理念というものは非常に明確なものがあります。本学にも「学校法人栴檀学園寄附行為」というものが定められておりまして、そこに「この法人は教育基本法、学校教育法、および私立学校法に従い、かつ仏教の教義、および曹洞宗宗立の精神を基調として学校教育を行い、有為な人材を育成することを目的とする」と明記されております。本学はこの趣旨に則って建学の精神というものがはっきりと明確に謳われております。おそらく皆さんに入学案内や何かでもご覧になっていると思いますけども、「行学一如」といいます。「行う」ということと、「学ぶ」ということがひとつであるというのが、本学の建学の精神。さらにそれにもとづく教育理念としまして、「自利利他円満」という言葉で表現しております。言ってみれば「行学一如」というのはこの「行」というのは「実践」、「学」とは文字通り「学ぶこと」ですから、「学び、そして実践する」「実践し、かつ学ぶ」、つまり「理論と実践を融合していく」ということになります。言い換えますと、本学ではみなさんが習う学問、これを通して学んだ知識、あるいは理論を実践することによって確認し検証する機会や場を、私どもは大事にしております。理論と実践を何度も行き来する中で、理論はさらに鍛えられ、実践は深みを増していくことになります。この先に、「行」と「学」との融合があります。本学のこの建学の精神の背景には、日本曹洞宗の宗祖道元禅師の極められた禅の究極である「修証一等」、普通は「修行して修行してさとりを得る」というのが当たり前の考え方ですけれども、道元禅師はそうではないという。修行することとさとりとは、ひとつのものであるという結論に至っております。その厳然たる宗旨が「行学一如」ということに反映しております。さらに本学には教育の理念として先程申し上げました「自利利他円満」というものがあります。「自利」というのは「自分を利すること」、「利他」というのは「他人に利益すること」、自分の利益を求めることだけではなく、周りの人に利益を与える。自分にも人にも与えていく。それで円満になっていきます。この「自分と他人が不可分である」ということ、この世界観と人生観、これは仏教では、自らさとりを得るために修行し、そして他を利益し、他を救済し悟らせるために教法を説くと、そういうことに由来しております。つまり本学の建学の精神、そして教育の理念がめざすところは、「人間はすべて生かされつつ生きつつ」ということを信条として、それぞれの人間のもてる力を出し合い、お互いに支え合いながら生きがいを感じられる社会、これを実現すること。広く言えば人類の幸福と国際社会ならびに地域社会に貢献する人材育成を目指しているということになります。ところで本学は明治八年（1875年）、曹洞宗専門支校として仙台市荒町に設立されまして、以来今年で百四十四年です。その長い歴史の中でみなさんご存じのように、本学には四学部九学科、大学院二研究科、さらには附属病院せんだんホスピタル、高齢者福祉施設、認知症研究研修センター等々、さまざまな施設を有しております。課外活動においても、皆さんよくご存じのとおりに、先輩たちが多く全日本レベルで活躍しています。その事実というのは、本学が行学一如という建学の精神に則り、これを実践している、確たる認識のもとに実行しているということになります。人間を探求し、人を育む、これを基本として時代に即応して常に時代の先端を進む高度の研究水準を維持して教育?学問研究の環境を整えて知的生産力の高い日本でも有数の大学へと発展してまいりました。皆さんの先輩たちはそれに呼応するように在学期間中に知識を深め、創造力を開発し、身心を磨き — 我が大学では「身と心」と書きます。世間一般では「心と身」と書きますけども、道元禅師が「身心脱落」ということを説いておられます。われわれはまず「身」そして「心」というものを大事にしています。皆さんの先輩が、そのような精神でわが大学にふさわしい伝統と歴史を築き上げてまいりました。本学は皆さんに建学の精神を体験し得る実践の場を提供し、二十一世紀の新しい社会福祉学の創出を模索しながら、時代の求めに応ずる開かれた大学、さらには地域社会に密着して共に歩む大学を実現するために、来年がちょうど百四十五周年を迎えます。この標題をわれわれが何とつけたかというと、「あたりまえを超えていく」とつけたんです。これはどういうことかというと、過去のあたりまえを乗り越えて今がある、そして今のあたりまえの中で生活をしている。そのあたりまえを未来に乗り越えていく、あたりまえを超えていくということをわれわれはモットーとしてこれから進んでいこうと、考えております。奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】の挑戦、あたりまえを超えていくというキャッチフレーズで、さまざまなことを企画しております。ですからみなさんにも、どうかこの建学の精神「行学一如」そして教育の理念「自利利他円満」というものを正しく理解してこれから一層励んでいただきたいというふうに心から思います。それから今日のこの行事はもうひとつの意味があります。これは、みなさんが本学において健康に、すこやかに学業が成就できるように、その祈念も含めております。どうぞみなさん、すこやかに過ごし、学業に専念し、あるいは部活に専念し、心から楽しんでいただきたいと祈念を申し上げて、私の法話 — というより、建学の精神と教育の理念の概説ですが — を終えたいと思います。