以上をもちまして、奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】2年釈尊涅槃会の法要を滞りなく終了いたしました。本日はご案内の通り、仏教の開祖、お釈迦様のお亡くなりになったことを供養する大切な儀式であります。「三仏忌」と申しまして、お生まれになった「降誕会」、お悟りを開かれた「成道会」、そして本日のこの「涅槃会」、この3日は大変奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】な日であります。1898年、インドのピプラーワーの遺跡で、ひとつの水晶の骨壷が発見されました。イギリスの考古学者ペッペにより、仏伝やさまざまな資料にもとづいて発掘作業が進められておりましたが、そこにはじめて、実在する人間としてのお釈迦様の存在が証明いたされたのです。私ども仏教徒は、お釈迦様は実在したものと2500年来信じて参りましたが、実はそれまでは、ヨーロッパをはじめキリスト教文化圏では「おそらくあれはインドのシヴァ神の信仰の延長線上にある空想上の存在に違いない」と、その存在が疑われていました。しかし、この発見以来、仏伝に示される通り、お釈迦様が実在の人間としておわしましたことが明らかになりました。今では、定説として紀元前383年の2月の15日にお亡くなりになったと書物に記されておりますが、最新の研究の結果ではそれよりも1世紀ほど遡るであろうことが推測されてもおります。お釈迦様中国における孔子、ギリシャにおけるソクラテスとほぼ同時期に生き、紀元前5世紀ごろに活躍されたということですが、日本の伝承では2月の15日に息を引き取られたとされています。東南アジアを中心とした南伝仏教では、5月の最初の満月の日とされています。いずれにせよ、満月の煌々と輝く夜のことであったのでありましょう。

 

時は紀元前5世紀、齢80歳になられたお釈迦様が自らの老いを自覚され、侍者アーナンダにお告げになります。「いざ、アーナンダよ、旅に出よう。私はおそらく三月後、この世から去ることになるに違いない。故に、今のうちに何か疑問やわからないことがあったら、私に尋ねてほしい。」このようにご自身の死期を悟られたことをふくめて、さまざまな告白をいたされました。若きアーナンダ尊者は涙を流しながら、お釈迦様との最後の月日を過ごすことを決意したのであります。そのお経、『マハーパリニッバーナスッタンタ』と呼ばれる初期仏典は、最後の三月を特に丁寧に、克明に記した、ある意味で記録の書であります。この経を紐解きますと、歩いた道のりはおよそ350キロ近く、しかもそれを徒歩で行かれたとあります。その心中いかばかりであったかは、私のような愚鈍の者にはわかりませんが、おそらくは最後のおつとめとして、文字通り身を粉にしての旅であったであろうと推測されます。「アーナンダよ、私は齢八十を迎えた。ちょうど古い車が革紐の助けでようやく動いているように、私もそのようにやっと歩いているのである。アーナンダよ、私は疲れた。横になりたい。」旅の果て、クシナガラという小さな村までやってきた時のことでした。川のほとりにはサーラの林が広がっていました。「アーナンダよ、あそこに白い花の、サーラの林が見える。その中にひときわ大きな2本の樹が見える。その間に、枕を北にして床をとっておくれ。私は横になりたい。」アーナンダ尊者は悲しみをこらえながら、ご指示のとおり床をとることにいたしました。ちょうど近くを、草刈りを終えて干し草をたくさんかかえて家に帰ろうとする農夫を見かけたので、アーナンダ尊者はその方から干し草をいただきました。今ではそれを吉祥草と呼んでおります。お釈迦様はお袈裟を4枚持ち合わせていたと言われております。その4枚のお袈裟を干し草の上に丁寧に広げ、そこに床を作られたのであります。経典によると、「まるでライオンが威厳をもって横たわるように、静かにお釈迦様は横たわられた」といいます。これらのことが「北枕」の故事となっております。「アーナンダよ、私はひどく喉が渇いた。水が飲みたい。」こう所望いたされました。アーナンダ尊者は近くのカクダー川まで行きます。その水はおそらく故郷から、あの生まれ故郷のシャカ国から流れ来る水でありました。ところが、近くをキャラバンが通ったせいで、濁り水となって、まったく飲める状態ではありませんでした。「お釈迦様、ただ今、水が濁っております。どうかもう少し上流までお進み下さい。」こうお願いしましたが、お釈迦様は「それでもいいからここでその水を飲みたいのだ。」と、三たび命ぜられたということです。致し方なく、アーナンダ尊者が3度目に水を汲みに行ったところ、川を見ると、川底まで透き通って見えました。「ああ何と、お釈迦様の偉大な神通力の素晴らしいことか。」アーナンダ尊者は讃え、水をなみなみと汲んでお釈迦様に届けました。お釈迦様はそれをきれいに飲み干されました。

お釈迦様は、その症状から、おそらくは今で言う赤痢にかかったものと推測されています。その直前、クシナガラの鍛冶屋チュンダのところで最後のお食事をとられたのですが、このお食事がお体に悪かったようであります。チュンダは泣いてお釈迦様に謝りましたが、お釈迦様は「そなたのせいではない。私は、来るべき寿命が訪れたのだ。」と慰めました。アーナンダ尊者にいくつかの教えを示され、残された仏弟子たちに最後の別れを述べられます。「すべてのものは移ろいゆくので、怠らず修行を勤め上げなさい。」こう言い残され、静かに息を引き取られたということであります。紀元前5世紀、満月の煌々と輝く晩のことでありました。

以来、仏教は世界中に広がっております。先日私の知人がアメリカに行って帰って来て、興奮気味にこう話しておりました。「日本人が考える以上に、世界中で仏教が求められているんですよ。ZEN、「禅」という教えと、その心の救いを、今、世界中の人が宗教を超えて求めているんですよ。」と。今、世界中でおおくの戦争、テロ、飢餓、温暖化、さまざまな問題が喫緊の課題となっておりますが、お釈迦様の示された教えは、人類にとっての課題に取り組むひとつの大きな導きの知恵になるであろうと、私は思うのです。今日は、お釈迦様のお亡くなりをご供養申し上げる日。学生さんたちにも立派にお勤めいただきました。深く感銘いたしました。どうぞ、そのお志はお釈迦様のお気持ちを受け継ぐものであります。誇りと自身をもって、まっすぐに歩いていただきたいと存じます。そしてまた本日の法要を迎えるまでに、おそらくは懇切丁寧にご指導いたされた諸先生、ご参列いただきました皆様に、心から感謝を申し上げ、本日の涅槃会の講話といたします。