本日は、学校法人栴檀学園奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】涅槃会法要であります。このたびは新コロナウィルス感染症予防対策を講じていただいた上、学生の皆さんを含めオンラインの実施等、さまざまなご配慮をいただきました。先生方、職員の皆さん、そして学生の皆さん、ご参加?ご参列いただきましてご苦労さまでございました。この場を借りて御礼を申し上げます。

本日はお釈迦様のご入滅を祈念し、ご供養申し上げる日です。すなわち、お釈迦様への思いはもちろんでございますが、あわせてこの一年間、新コロナウィルスに罹患され命を落とされた方、またお亡くなりになられた方々の御霊をご供養申し上げる学園関係者の気持ちを胸に、法要をつとめさせていただきました。そして、思えば今年、あの東日本大震災から十年目を迎えます。来る三月十一日には追悼法要を厳修させていただく予定でございますが、その日に向けて、東日本大震災で被災された方々の思いを新たに胸に刻むために、それを動画に収めさせていただき、全国に、世界に、そして後世に、忘れてはならないこの思いを伝えようと、今、鋭意その編集が進んでいるところでございます。出来上がりました折にはどうぞご高覧いただき、改めてその思いを分かち合っていただきたいのでございます。特にその折には、阪神淡路大震災のNPO活動を今日まで休みなく続けておいでになりました牧秀一先生をお招きして、オンラインでの討論会を行うという企画も盛り込まれております。また、宮城県曹洞宗青年会の皆様をはじめ全国の曹洞宗宗侶のご尽力いただいた記録等もご紹介する予定でございます。三月十一日のあの大きな出来事を前に、この涅槃会をもって参加者の皆様にはご案内を申し上げておきたいと思います。

時は紀元前五世紀、一説には紀元前三八三年の二月の十五日、その望月の夜、偉大なるお釈迦様は八十歳にてその生涯を終えられました。三百キロあまりの遠い遠い、北へ向かう旅の途中、クシナガラの川のほとり。その川の水はおそらくはご自身の生まれ故郷から流れ出るものであったと思われます。末期の水となるその水を飲み干された後、サーラ双樹の林の中で、お釈迦様は枕を北にして横になられました。『マハーパリニッバーナスッタンタ』によりますと、まるでライオンが優雅に横たわるように威厳をもって休まれたといいます。

「アーナンダよ、私は疲れた。私は横になりたい。」

このようにお弟子様や、そしておそらくは当時わずかなクシナガラの村の人々を前に、お釈迦様は最期の言葉を述べられました。この大学本堂の室中には、その時のご様子の涅槃図が飾られています。学生の皆さんにおかれましては、本堂を訪れました際に、この涅槃図をお参りしていただきたかったのでございます。サーラ双樹の花の下、「すべてのものは移ろいゆく。怠らず勤め上げなさい。」これが最期のお言葉でありました。人々の悲しみは深く、すすり泣きの声はまるでさざ波のように広がっていったのです。

今、世界中であらゆる災害、戦争、テロ、そしてウィルスの猛威の中、生命の危機が叫ばれる時代となっております。しかしおそらくお釈迦様の頃はさらにさらに人の命ははかなく、もろく、弱い存在だったかと思われます。しかしお釈迦様はそういう時代だからこそ、命は尊いのだということを、世の中ははかなきものだということを、生涯をかけてお示しになられました。ふり返って今、大変な時代だからこそ、そして東日本大震災から十年目を迎えるこの春だからこそ、改めてお釈迦様のお示しになられた「この世に生きることの尊さ」、これを涅槃会において皆様とともに胸に刻んでいきたいと思います。